免疫抑制機能をもつタンパク質
北海道大学は免疫抑制機能をもつHLA-Gタンパク質が関節リウマチの症状の進行を長期間抑え、顕著な副作用も認められないことをマウスで確認した。
HLA-Gタンパク質は胎盤、胸腺、腫瘍細胞に発現する。たとえば胎児の細胞が母体免疫から異物として排除されることを避けるために発現し、母体の免疫反応を抑制する働きをする。
多様な分子形態をとるタンパク質でもあり、自然酸化により対の形態(ホモ二量体)をとると、抑制型免疫細胞受容体との結合が強化され単量体よりも強力なシグナル伝達を行う。
今回の研究では、対の形態のHLA-Gタンパク質を自己免疫疾患のひとつである関節リウマチに投与して抗炎症効果をマウスの実験で調べた。
その結果、四肢の関節の腫れを抑制する効果が見られ、体重減少や致死などの副作用はなかった。軽度の炎症では少量の投与で抑制効果が長期間持続することもわかった。関節の腫れの数値が高くなると抗炎症効果は認められなかった。
関節リウマチの治療に可能性
関節リウマチには抗炎症薬、ステロイド薬による治療を行う。近年では生物学的製剤も使われているが、副作用に加えて抗体医薬に対する薬剤効果が低減する弊害がある。
HLA-Gは生体内に存在するタンパク質なので、その免疫抑制効果は副作用の少ない天然免疫制御タンパク質製剤として有効であり、今後バイオ医薬品としての開発が期待できる。また効果持続期間が長いため、他の医薬品との併用で投与量、回数をおさえ患者の身体的、金銭的負担を軽減することが考えられる。
▼外部リンク
北海道大学プレスリリース
http://www.hokudai.ac.jp/