電極でアルツハイマーを治療
ワシントン、AP通信によると、アメリカには500万名以上の認知症患者がおり、それを克服するため、現在アルツハイマー患者のためのいわゆる「脳のペースメーカー」の研究が進んでいる。
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脳深部刺激治療法
アルツハイマーを克服するため、薬以外の治療法も模索されている。そんな中、オハイオ州立大学ではアルツハイマーの進行による記憶の喪失を妨げるための研究、Deep Brain Stimuration(DBS,脳深部刺激)が行われている。患者の脳に弱い電流を送って刺激するというものだ。
電極の脳への移植は新しいものではなく、世界で8万5千人から10万人がパーキンソン病から来る震えや行動異常を制御する為にDBSを移植している。神経細胞への連続的な少し強めのゆったりとした振動は少しの副作用も見られる。
また、電極を植えつけることはそう簡単なことではない。患者の頭蓋骨に穴を開け、細いワイアーを正しい位置に植えつける必要がある。記憶や思考などを支配する脳の部分に持続的な電気的刺激を送り、脳の損傷部分を迂回して、神経のネットワークの活動を長く保つことを狙いとしている。
数十名の患者が研究に参加
研究はまだ初期段階で、一部の病院でわずか数十名のアルツハイマー初期の患者が手術を受けるに至っている。効果の程や効果の持続がどれくらい続くのかなどの結果はまだ出ていない。
この研究を受ける決意をした中の1人、ジョー・ジェスターさん(78歳)は症状が少しでも好転することを希望し、追跡テストのために病院へ通っている。
また、ケイシー・サンフォードさん(57歳)は、初期のアルツハイマーの症状がだんだん悪くなっている。彼女は1人で住んでいて常にメモ帳を持っているが、もう効果がなくなってきており、手術を受ける決意をした。
手術は5時間に及び、その際首の骨の近くに設置された発信機が脳に小さな刺激を送っている。手術の数ヵ月後、彼女は電極の刺激で時々ずきずきするのがとてもいい感じだと話した。
研究結果に期待を寄せる
科学者たちは2年間彼女を追跡調査する予定だ。オハイオ州神経外科医アリ・レザイ博士に寄れば、現在のところは良い結果が出ているということだ。この電極がアルツハイマーの根本原因を排除できなくても、攻撃できなくとも、脳の働きを活発にすることはできると見ている。
現在の薬は一時的に症状を緩和するだけである。アルツハイマーの要因となると思われる脳の動きを妨害する粘着性物質を攻撃する試みは、今のところうまくいっていないのが現状であり、この研究が良い結果をもたらすことを研究者たちは願っている。
▼外部リンク
オハイオ州立大学
http://medicalcenter.osu.edu