ICSの普及は道半ば
気管支喘息とCOPDの専門医団体(JASCOM)が喘息患者の実態を調べる電話調査を行った。対象は過去に喘息と診断され最近1年間に関連症状を経験したか、喘息治療薬を服用した16歳以上の男女400名。平均年齢は46.4歳、性別は男性27%、女性73%。
(画像はWikiコモンズを利用)
調査対象の8割以上が軽症者だったが、1か月間の喘息発生率では62%に症状が出ていて喘息のために日常生活に支障があった人は6割いた。喘息のコントロールはまだ不十分な段階といえる。
最近1か月間のICSおよびICS/LABA(吸入ステロイドと長時間作用性吸入β2刺激薬の配合剤)の使用率は34%。使用率は向上しているが基本治療薬にしては十分とはいえない。最近1年間の服用期間は10か月以上が41%。服薬をやめた理由では「症状がなくなった」が61%、「発作が治まった」が39%。
服薬アドヒアランス(服薬遵守)の向上を
JASCOMはこの結果に対して、自己判断でやめているケースが多いが治療をやめると症状をぶり返し悪化するリスクが考えられる。患者には喘息が慢性の炎症性疾患であることやICSの継続の重要性を説明する必要がある、と考えている。
ICSの服用に関しては、症状の消失で服用をやめるのではなく、継続的に使用して喘息を長期的にコントロールすることを医師が指導していきたいとしている。
また、プライマリケアの広がりでプライマリケアの医師の治療を受ける患者も多いことから、プライマリケア医への疾患啓発、専門医とプライマリケア医との連携が課題としている。さらに高齢患者の増加もあり、家族、介護施設スタッフなど関係者への啓発の必要性も訴えている。
▼外部リンク
JASCOMプレスリリース
http://www.jascom.jp/