同事業は、お薬手帳の記載内容の一部である調剤日、投薬した薬剤の名称、用法、用量などの「服薬情報」を、患者の携帯電話やスマートフォンに搭載するシステムの構築を目的としたもの。服薬情報の電子化を図ることで、府民の健康増進や災害時への対応力の向上を目指す。
会見で藤垣哲彦会長は、「多科受診や相互作用の問題解決手段の一つとしてお薬手帳への関心が高まっている」と明言。さらに、「東日本大震災で、お薬手帳が有効に活用された」実例を挙げ、外出時常に持ち歩く携帯電話やスマートフォンの中に、お薬手帳の内容を組み入れる有用性を改めて強調した。
府薬が進める服薬情報取り組み機能は、[1]スマートフォンをスマートパソリ(ICリーダーライター)にタッチして調剤レセコンの服薬情報を読み取るおサイフケータイ機能[2]スマートフォンのカメラ機能で調剤レセコンから出力された服薬情報のQRコード(二次元バーコード)を読み取る機能[3]QRコードによる服薬情報を携帯電話にメールで配信する機能――の3種類。[1]と[2]の機能について、箕面市薬剤師会所属薬局(約20薬局)で実証実験される。
デモンストレーションでは、無料のお薬手帳アプリ(図)をダウンロードしたスマートフォンを専用読み取り機(スマートパソリ)にかざすか、調剤レセコンが出力したQRコードをカメラで読み取れば、服薬情報が簡単に取り込めることが公開された。
同事業は、実証実験での課題を踏まえてシステムを改修し8月に完成させ、9月から府下全域での運用を予定している。9月22、23日に大阪で開かれる日本薬剤師会120周年記念学術大会で、府下での運用開始や実証実験の結果などが報告される。
都道府県地域医療再生基金による同事業の予算額は2012年度4900万円、13年度1億2700万円。乾英夫副会長は、「薬局への同システムの導入は、なるべく負担がかからないように進める」と話す。
一方、藤垣氏は「現在、お薬手帳の電子化を進めている県薬剤師会や調剤薬局チェーンがある」と指摘し、「患者さんのためには、連携して全国でシステムを統一する方向性が好ましい」と強調。今後、日薬と連携して「全国標準システムを目指す」考えを明らかにした。