腎臓再生に向けた大きな一歩
京都大学の長船健二 CiRA准教授、前 伸一研究員らの研究グループは、ヒトiPS細胞を分化誘導させ、腎臓の細胞の一部を作ることに成功したと発表した。
研究グループでは、ヒトiPS/ES細胞を、腎臓や副腎、生殖腺へと分化する元となる細胞「中間中胚葉」に、効率よく分化させる技術を確立した。
この技術を用いると、90%以上の確率でiPS細胞を「中間中胚葉」に分化させることができ、さらに実験では、iPS細胞から分化したこの「中間中胚葉」が、腎臓の様々な細胞に分化することも確認することができた。
(この画像はイメージです)
期待がかかる副腎や生殖腺の再生医療への応用
研究グループでは、BMP7(bone morphogenetic protein 7)、activin A、Wnt3aや、低分子化合物(CHIR99021)を用いることで、「中間中胚葉」への分化誘導が効率的になることを明らかにした。
また、この「中間中胚葉」をマウス胎児の腎臓細胞と共に培養したところ、管構造を作り出した。その細胞は、LTL(Lotus Tetragonolobus lectin)が陽性であり、尿細管上皮細胞の指標であるLAMININの発現が確認できたことから、腎尿細管であると考えられる。
このことから、この新技術を用いヒトiPS/ES細胞から誘導した中間中胚葉には、腎臓の3次元構造を作る能力があると言える。
研究グループは、
中間中胚葉は腎臓・副腎・生殖腺の3種に分化することが知られており、腎臓のみならず、副腎や生殖腺の再生医療にも応用が期待される。
とコメントをしている。
この研究成果は、「Nature Communications」オンラインに2013年1月22日16時(英国時間)に公開されている。
▼外部リンク
京都大学
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data
Nature Communications
http://www.nature.com/ncomms/journal/