財務省の財政制度等審議会は21日、来年度予算編成の基本的な考え方を示す意見書(建議)をまとめ、麻生太郎財務相に提出した。建議では、医療費の約2割を占める医薬品について、「先発品と薬効の変わらない後発品は、使用をこれまで以上に促進すべき」と指摘。一部医薬品の患者自己負担を求める参照価格制度の導入や市販類似薬の保険外しを改めて提言した。また、70~74歳の患者負担を2割負担に戻すことに関して、「問題の先送りは許されず、直ちに取り組むべき」とした。
建議は、医療分野について、「給付の重点化・効率化に向けた不断の取り組みが必要」と安易な公的負担への依存をけん制。このうち、診療報酬改定による価格規制について、「そもそも総額規制としての効果に限界がある」とした上で、2010年度と12年度の連続プラス改定を挙げ、「その統制力が減耗しつつある」と効果に疑問符を投げかけた。
また、医薬品については「後発品の使用をこれまで以上に促進すべき」とし、後発品薬価を上回る部分の患者自己負担を求める参照価格制度の導入、先発品薬価の引き下げを改めて提言した。生活保護の医療扶助に関しても、後発品の原則化や一時窓口負担の導入を求めた。
さらに、うがい薬、湿布薬等の市販類似薬の保険外しを「不断に対応すべき」と引き続き要求。一層の医療給付の重点化、効率化を強く迫った。
また、高齢者の自己負担の見直しは、70~74歳の患者負担を2割に戻すことについて「直ちに取り組むべき」と強く要求。「給付と負担のバランスに歪みが加えられ、現役世代の保険料負担にしわ寄せが及び、補正予算措置で将来世代への責任が果たされなかったことを「極めて遺憾」と厳しく指摘。問題の先送りは許されないとし、13年度中の2割負担実現を強く求めた。
一方、科学技術予算については「研究開発費は社会保障費を上回る伸びとなっているが、目的別研究費のシェアは、ほとんど固定化されている」と指摘。「研究開発が社会や産業構造の変化に対応できていない」などと問題意識を示し、研究資金の弾力的な配分、実績や成果に基づく人事等、人的・物的資源の再配分を促進すべきとした。その上で、政策的な重点分野の明確化、時間軸に応じた戦略設定等、研究分野の選択と集中を求めた。