アメリカでは今年インフルエンザが大流行。これを受けて関連報道も増えています。先日は海外サイトNY Timesに、「どんなマスクを選んだら良いか?」という記事が掲載されていました。
確かに、今はマスクも色々なものがあって、どれが良いかわかりにくいほどになっていますし、そもそもマスクってどのくらい効果的なのでしょうか。
このコラムは、インフルエンザの感染についての前編と、実際のマスク選びのポイントと予防についての後編の2回でお届けします。
インフルエンザのウィルスは、飛沫感染という経路で広がっていきます。このため、くしゃみや咳で、唾が飛んでしまうような比較的大きな飛沫の場合には、確かに簡単なマスクでも物理的に効果はあります。
けれども、2010年に発表された調査では、インフルエンザにかかっている人たちの8割が、咳によって空気中にウィルスを排出していることが確認されています。そして、ウィルスの65%が呼吸によって、肺まで届くような微粒子となって空気中にただよっているとされているのです。
例えば、アメリカの疾病対策予防センター(CDC)のガイダンスでは、周りにインフルエンザの人がいる場合、「手元にあって、使用に耐えうるなら」使った方が良いし、ティッシュで鼻と口を覆うことでも良いとされています。つまり、「絶対マスク」とは言っていません。
CDCはさらに、もしも実際にインフルエンザにかかっている人の看護や介護をしているならば、マスクを使うべきだとしていますが、通常は家にいて、特にインフルエンザにかかっている人と接触がなければ、マスクを必ず使うようにとは言われていません。
これは、マスクに効果がないのではなく、マスクでの予防にはある程度の限界があるからなのです。マスクでの予防とその実際は、後編でお伝えします。
▼外部リンク
NY Times ; In Flu Season, Use a Mask. But Which One?
http://newoldage.blogs.nytimes.com/
PLoS One ; Measurements of Airborne Influenza Virus in Aerosol Particles from Human Coughs
http://www.plosone.org/article/