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「臨床研究推進会議」が発足―国立大45病院で基盤形成へ

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2013年01月23日 AM09:48

全国の国立大学42大学45病院が結集し、臨床研究の大きなプラットフォーム形成を目指す「国立大学病院臨床研究推進会議」が発足した。真に臨床研究を推進するため、大学病院が備えるべき恒久的な研究基盤を構築するのが狙い。各大学が横に連携し、研究者や実務担当者の教育等に取り組み、臨床研究全体の底上げと連携、標準化を進める。特に国立大の強みを生かし、トランスレーショナルリサーチや希少疾患や難病の臨床研究に対する先進医療開発を推進したい考えだ。

■先進医療開発を推進

治験実施体制が整備される中、最近は臨床研究の推進が叫ばれ、厚生労働省の「臨床研究中核病院」や文部科学省の「橋渡し研究加速ネットワークプログラム」等の拠点が選定された。

そのほとんどが国立大病院であり、関東地域でも2006年から7国立大による「大学病院臨床試験アライアンス」の活動がスタートしていた。

ただ、国の拠点整備が進められる一方、大学間格差が生まれたため、国立大病院の情報共有と連携強化を図り、強固な研究基盤を構築することが必要と判断。国立大病院長会議でも、臨床研究のネットワーク化を具体的に推進する枠組みの必要性が指摘されていたことから、恒久的な組織として、全国の国立大を結集した同推進会議を発足させることになった。

推進会議は、北海道大学、東北大学、千葉大学、東京大学、東京医科歯科大学、名古屋大学、京都大学、大阪大学、岡山大学、九州大学の10大学で幹事会を構成。全国の国立大学42大学45病院から参加登録を得た。会長には、東京大学病院の門脇孝病院長が就任し、今後、臨床研究全体の底上げと標準化、連携、交流を目的に、研究者と支援組織の実務担当者の教育を行い、強固な研究基盤を構築していく。

国の中核病院、TR拠点等も同会議のプラットフォームで活動する拠点と位置づけ、教育研究支援機能を相互利用したり、希少疾患や難病患者が集まる全国の国立大病院が中心となって疾患別ネットワークを構築し、症例集積性を高める。

具体的な活動としては、情報交換や連携、標準化に向けた提案を行う五つのトピックグループを構成。▽サイト管理▽ネットワーク▽ARO/データセンター▽教育・研修▽人材雇用とサステナビリティ――に関して議論を進め、幹事会に提言を行う。また、同推進会議は、国立大病院長会議にも提言を行っていく。

同会議の荒川義弘事務局長(東京大学臨床研究支援センター)は、「臨床研究を推進していくためには、研究者と支援組織が同じ基準でレベルを高めていかなければ機能しない」と教育の意義を強調。「国主導ではなく自分たちで主導して動き、大学間で連携して、本来大学病院が備えるべきより恒久的な教育と研究支援の組織を整備する必要がある」と設立の背景を述べた。

その上で、希少疾患や難病の治療法開発は、大学が中心に進めていく使命があるとし、「実行力のある形で研究者のネットワークを構築し、グローバルな連携も可能なように、臨床研究全体の推進を図っていきたい」と話している。

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