認知症に対する苦手意識
認知症診療に対して苦手意識を持っている医師は意外と多い。しかし今後、急増すると予測されている認知症患者を診ない医師は、地域住民から信頼されなくなるということがありえる。
認知症は、高血圧や糖尿病のように、検査値で病状を把握できないため、時間をかけて患者もしくは、家族と話をしなければならない。診断の時も、発症したかどうかというはっきりしたものがないため、ある程度の診療経験が必要となる。また診断していても患者が喜ぶということないので、医師にとってはやりがいを感じられないということもある。
しかし、アルツハイマー型などの認知症と診断された患者数は数年で急増している。そのため今後は認知症患者を、積極的に診なければいけない状態になる。
厚生労働省は、2012年6月に「今後の認知症施策の方向性について」という報告書を発表した。主な内容としては、今後は入院をさせるのではなく、速やかに症状を軽減するような治療を行なっていく。そのため現在は主な受け入れ先となっている精神科病院にはあまり入院をさせずに、一般診療でも対応しなければいけないということになる。
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診療報酬によって外来を評価
認知症の診断や対応ができる認知症疾患医療センターの整備、また認知症サポート医の養成、かかりつけ医向けの研修の実施などが行われており、13年度の医療計画にも盛り込まれることになっている。
診療報酬では、近年の改定によって、認知症が疑われる患者を認知症疾患医療センターへ紹介した場合や、診断後の患者を管理した場合に算定することができる診療報酬点数がいくつか新設された。そのため認知症を診ることによって、病院の収益を上げることができるようになってきている。
しかし体制を整えたとしても、認知症を自信もって診ることができるという医師はなかなか増えない。そのうえ今後急速に増加することはほぼ確実であるため、どれだけの医師がしっかりと認知症患者を診断できるのかということが重要となる
▼外部リンク
厚生労働省 「今後の認知症施策の方向性について」
http://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/dementia/dl/houkousei-02.pdf