環境発がん、中皮腫
「国際環境発がん制御研究会」が15日設立した。アスベスト(石綿)による難治性のがん、中皮腫の早期発見や治療薬の開発に取り組む。
中皮腫が建設労働者などに多く発症する問題はかねてから取りざたされてきた。早期診断が困難で治療の難しい段階での発見が多く、予後も不良。中皮腫による死亡は年々増え、2011年には1258人が亡くなっている。
代表となる順天堂大学の樋野興夫教授は同大に「アスベスト・中皮腫外来」を開設(2005年)後、中皮腫を「環境発がん」と認識するために「次世代の環境発がんを考える会」を発足(2010年)している。
急がれる早期発見と治療の開発
同研究会は発症前診断と新規治療法の開発を進めていくが、中皮腫の専門家が少ないことから、がんのほか生命倫理、化学物質の研究者らに協力を呼びかけている。
また、同様に患者の増加を抱えるアジアの研究者、医療関係者を対象にシンポジウム・研修会を開催して、研究成果を伝えていく予定。
順天堂大学は株式会社免疫生物研究所と共同で「中皮腫の診断剤、診断キットおよび診断方法」の特許を昨年12月末に取得した。この血液マーカーの測定技術を用いた血液検査で中皮腫の早期診断を行う。
2007年から外来受診者、アスベスト曝露履歴のある東京土建国民健康保険組合員を対象にキットによる検診を開始した。これまでに延べ約12万人が受検。発症前診断で3例を発見している。今後、術後のフォローアップも目指していく。
▼外部リンク
免疫生物研究所プレスリリース
http://www.ibl-japan.co.jp/news_img/PR_20121226_ERC.pdf
がん哲学ノート
http://www.tobebook.net/blog/