SSRIsが死亡リスクを与えるかどうかの研究
妊婦へ選択的セロトニン再取り込み阻害薬であるSSRIsを処方することによって、胎児や新生児、乳児の死亡リスクに与える影響がどのようなものであるか、ということを検討した研究で、SSRIsを使用した場合と胎児や新生児、乳児の死亡の間に関係がないということが明らかとなった。スウェーデンSolna大学病院のOlof Stephansson氏らが研究の結果を発表し、JAMA誌2013年1月2日号に掲載された。
現在先進国では、妊婦の7~19%が妊娠中にうつ病を経験する、と言われている。妊婦がうつになってしまうと、妊娠の転帰の悪化や、早産に関係するということが知られている。しかし何か有害な影響がうつ病になる理由なのか、そうではなくストレスや飲酒、喫煙などによって発症してしまうのかということは明らかになってはいない。
しかし妊婦のうつ病の管理は、実際は難しいことである。北欧では、軽症のうつ病になっている妊婦に対しては、投薬ではない治療が推奨されている。しかし症状が悪化したうつ患者に対しては、様々なことを考えた上で抗うつ薬が処方される場合が多い。その中でも最も多く使われているのがSSRIsである。
(Wikiメディアより引用)
SSRIsを使用する場合には妊婦の状況の把握も重要
SSRIsを妊娠中に使用した場合には、先天異常や自然流産、新生児薬物離脱症候群、新生児遷延性肺高血圧症といった病気との関係の報告はこれまでに複数あったのだが、死産や乳児死亡リスク等との関係については明らかになってはいなかった。
そのため今回著者らは、妊娠中にSSRIsを使用した場合に死産や、乳児死亡との関係を調べるために、デンマーク、フィンランド、アイスランド、ノルウェー、スウェーデンで研究・分析を実施した。
その結果、妊娠中にSSRIsを使用しても死産や、新生児死亡、乳児死亡との間に関係は認められなかった。しかしSSRIsを使用するのかということは、死亡リスク以外にも様々な影響が出ることが考えられるため、リスクを勘案して判断する必要があると述べている。
▼外部リンク
JAMA誌2013年1月2日号
http://jama.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=1555130#qundefined