日本薬剤師会はこのほど、「『健康介護まちかど相談薬局』をはじめとした薬局の相談機能を活かした取り組みに関する調査」結果をまとめた。それによると当初、介護保険サービス利用者からの苦情相談等の申し立て・連絡機関への紹介などが主な事業であった「健康介護まちかど相談薬局」(相談薬局)だが、新たに市町村が行う認知症サポーター、自殺対策のゲートキーパー、禁煙支援、オレンジリボンなどの取り組みなども、その役割として展開している事例が見られることなどが分かった。
「健康介護まちかど相談薬局事業」は2005年から、老人保健健康増進等事業を引き継いで、改めてスタートしたもので、介護保険制度のみならず、健康支援を含めた地域住民の相談の受け皿として、関連機関との連携窓口的な役割が求められていた。事業開始当初は全国で1万2117薬局で事業展開されたが、今回調査でも1万0501薬局で展開していることが分かった。
調査の結果、新たに市町村が行う介護予防支援事業の特定高齢者把握事業の一環である「チェックリスト」のチェック実施を「相談薬局」が担っている事例。認知症サポーター、自殺対策のゲートキーパー、禁煙支援、がん相談・支援、オレンジリボン(児童虐待防止)などの取り組みも、「相談薬局」の担う機能の一つに位置づけている事例も見られた。さらに「相談薬局」を在宅医療を積極的に行う薬局として研修・育成を行うなどの事例もあった。
結果報告では、▽生活習慣病▽禁煙▽休養・こころの健康▽アルコール▽栄養・食生活(健康食品も含む)▽身体活動・運動▽がん▽子育て支援・母子保健・子ども▽女性特有の疾病対策・女性の健康づくり――などに分け、具体的な都道府県薬剤師会の取り組みなども含め、実施概要が示されている。
このほかの実施内容としてドーピング防止、認知症サポートや高齢者の見守りなどの取り組み。ドーピング防止に関しては、スポーツファーマシストや都道府県薬が育成したドーピング防止の知識を有した薬剤師のいる薬局を、「ドーピング防止相談薬局」等の名称で地域住民に周知している事例も挙がっている。