「生理前だから、ちょっとイライラするの。」という会話は、比較的良く聞かれるもので、言われた方も「そうか、それじゃあしょうがないな。」と納得することがほとんどでしょう。生理前に女性が感情的になったり、気分が沈んだりすることは、PMS(月経前症候群)の症状の一つで、自然なこと、と考えられてきました。
ところが、昨年月経前に気分の落ち込みなどを訴える女性は、わずか15%なので、PMSは気分には影響しないという論文が専門誌に発表されると、世界中の女性たちから憤慨の声が上がりました。研究は過去に行われた女性の気分についての47の文献を、生理の周期との関連という視点から再分析したものです。
それが、数字で数えられたとしても、生理前にうつ傾向になったり、自分の感情をもてあましてしまったりして、辛い思いをしている女性にとっては、何の解決にもならないばかりか、まるで自分の辛さは真実ではないと言われたような不快な気持ちであるという声が大半です。
医学の分野では、通常数字で測定できる研究で、その信頼性を判断しますが、数字では認められても、それが健康増進に役立つものとして受け入れられるとは限らないという一例となりました。健康は身体面だけではなく、精神面にも関わること。本当に大切なことは数字では測りきれませんね。
なお、この研究では、PMSと気分の落ち込みなどについての関連性を否定していますが、頭痛や腹痛、便秘などの身体症状との関連や、PMSそのものを否定したものではありません。
▼外部リンク
Mood and the Menstrual Cycle: A Review of Prospective Data Studies
http://www.sciencedirect.com/science/article/
PMS may be gone but women are in no mood to lose anger
http://www.theage.com.au/opinion/