カリフォルニア大学のチームが行なった2つの研究で、興味深い発見がされました。年をとるにつれて微妙な表情の変化を読み取ることが出来なくなってくると報告されました。
1つめの調査では、55歳から84歳の119人と、主に20台の24人に、30枚の顔写真を見せて、信用できるかどうかを尋ねたものです。信用できる顔、とされたものは年齢にかかわらず一致していたのに、若い世代で疑わしいとされたものでも、年配層では信頼できると見ていることがありました。
もう一つの調査の対象は、55歳から80歳の23人と、平均33歳の若い21人。こちらは60の顔写真に信用できる、出来ないの判断を下す様子をMRIで捕らえました。すると、年配層では、「どうも、あやしいなあ」という信号が出ていないことが分かったのです。
会話をしていて、こっそりと笑ったり、ちらっと目をそらしたりといった変化を相手の表情から読み取ると、若い人では、「この人の言っていることは本当かな?疑わしいな」などのように、心に働きかけます。
年をとってくると、こういう小さな変化が、目に映っても心に届かなくなってしまうそうです。日本でも時々、お年寄りが詐欺の被害にあったという報道がなされますが、疑わしい情報が伝達されなくなるために、信じてはいけない人を信じてしまうことも一因のようです。お年寄りがこうした被害にあわないために、周りの人も心に留めておきたい発見ですね。
▼外部リンク
Neural and behavioral bases of age differences in perceptions of trust
http://www.pnas.org/content/109/51/20848.short
Evidence for social working memory from a parametric functional MRI study
http://www.pnas.org/content/109/6/