厚生労働省は16日、「再生医療製品患者登録システムのあり方に関する検討会」の初会合を開き、再生医療製品を使用した患者の市販後安全対策を確立するための新たな仕組み作りに向け、議論をスタートさせた。厚労省は、国内外の再生医療製品の規制や開発、使用状況などの実態調査も並行して実施。調査結果も踏まえつつ、患者登録システムのあり方についての報告書を今年度内にまとめる。システムの開発・構築には来年度から着手する。
市販前に十分な症例数での臨床成績を得ることが困難な再生医療製品は、承認取得後に全例調査を実施し、有効性、安全性を評価する必要がある。
患者登録システムでは、再生医療製品の市販後安全対策を強化するため、再生医療製品の使用全例について、学会等による中央登録システムを構築。有効性・安全性について信頼性ある評価を行える環境を整備すると共に、大手製薬企業と比べて経営体力のない再生医療製品メーカーの負担を軽減することで、より活発な開発を促進することを見込む。
厚労省がこの日の会合に提示したシステムのイメージでは、各病院が再生医療製品を使用した患者を登録すると共に、登録患者の再生医療製品を用いた術後の状況を外来の際などに確認し、診療内容をシステムに登録。登録情報を日本再生医療学会のデータベースセンターに集めることを想定している。
今後、検討会では、システムに登録する情報の種類や、登録の方法、制度の運営方法、登録率を上げるための方策などを議論する。
また、検討会と並行して再生医療製品の市販後安全対策の調査も行う。海外では、欧米や韓国などを中心に規制や開発、市販後の情報収集体制などについて実態を調べる。国内では、20医療施設を目標に再生医療製品の使用、研究開発状況を調査。再生医療製品関連企業の安全対策に対する意識調査も実施する。
3月末をメドに調査結果をまとめ、4~5月に予定する次回会合に提示する。
厚労省は、政府が昨年10月26日に2012年度予算の予備費で緊急経済対策の実施を決めたことを受け、2000万円の予備費で再生医療製品を使用した患者を長期にわたってフォローアップするための患者登録システムの構築に向けた調査・検討を行うこととしていた。