糖尿病患者では多枝冠動脈疾患が多い
糖尿病患者のなかには多枝冠動脈疾患になる人が多いが、その場合に血行を再建する方法がある。しかし冠動脈バイパス術と経皮的冠動脈インターベンションという2つの方法があるのだが、どちらがより効果があるのだろうか。
米Mount Sinai医科大学のMichael E. Farkouh氏らが行った試験で、冠動脈バイパス術と経皮的冠動脈インターベンションの両方に対して、まずは積極的に薬物療法を行った。
それから経皮的冠動脈インターベンションに対しては薬剤溶出ステントを使用しても、冠動脈バイパス術を適用した方が死亡率と心筋梗塞を発生する確率が低い、という結果が出た。この試験についての論文は、NEJM誌2012年12月20日号に掲載されている。
(この画像はイメージです)
冠動脈バイパス術と経皮的冠動脈インターベンションではどちらが効果があるか
アメリカでは、冠動脈血行再建術を受ける4人に1人が糖尿病患者である。これまでに行われた無作為化試験では、冠動脈バイパス術の方が経皮的冠動脈インターベンションよりも結果が良好であると報告されていた。
今回、糖尿病患者に対して積極的な薬物療法を行い、経皮的冠動脈インターベンションに薬物溶出ステントを使用した場合でも、期待する結果になるのかどうかを調べるために、無作為化試験を行った。
05年から10年の5年間、世界の140施設で2本以上の冠動脈に2カ所以上の狭窄があるが、左冠動脈主幹部には狭窄はない糖尿病患者1900人を登録した。患者に薬剤溶出ステントを用いた場合にどのようになるのかということを、2年以上追跡した。
この試験で、糖尿病で冠疾患が進行している患者に対しては、経皮的冠動脈インターベンションより冠動脈バイパス術を適用した方が、心筋梗塞だけでなく死亡するリスクも低いという結果であった。
▼外部リンク
NEJM誌のWebサイト
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1211585#t=abstract