医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

QLifePro > 医療ニュース > 医療 > ピーナッツアレルギー、ピーナッツで耐性をつくる治療法を確立 アメリカの研究

ピーナッツアレルギー、ピーナッツで耐性をつくる治療法を確立 アメリカの研究

読了時間:約 1分34秒
このエントリーをはてなブックマークに追加
2013年01月13日 PM10:13

ピーナッツをピーナッツで克服

死に至ることもあるピーナツアレルギーをピーナッツによってどのように治療するか、という研究結果が、専門誌のthe Journal of Allergy and Clinical Immunologyで発表された。

(ウィキペディアより 画像はイメージです)

舌下免疫治療、長期にわたって行うことで効果を出す

イギリスでは100人に1人がピーナッツアレルギーを持っており、それは増加傾向にある。アレルギー源を避ける以外の有効な臨床治療が未だない中、このアメリカではピーナッツを利用して耐性をつくるという研究が行われた。

研究に携わったのは、ノースカロライナ大学医学部教授のウェスリー・バークス博士とコロラド州、デンバーにあるNational Jewish Healthのデビッド・フライシャー博士だ。

研究には12歳から37歳のアレルギー保持者40名が集められ、ピーナッツの粉末を含む液体を2分間舌下に含めた後飲み込むという、舌下免疫療法が行われた。その際、彼らには不作為にピーナッツ舌下免疫治療か、擬似薬を毎日与えた。

その後、彼ら全員に症状が出ない量(2g)のピーナッツを摂取してもらい、44週後にもう一度同じテストを試した。

その結果、擬似薬を与えられた人15%に成果があったのに対し、ピーナッツを与えられた人の70%には成果があったとみなされ、症状なく摂取できた量の中間値が3,5mgから496mgにまで上昇した。66週後はさらに効果が現れ、996mgまで摂取量が大幅に増加した。

ピーナツ舌下免疫治療によって、多くのアレルギー保持者がピーナッツに対する敏感性を和らげることに成功し、治療により長い時間をかけることでさらに効果を得られるという結果が出た。

個人で行う治療は危険

この治療は専門家により注意深く観察しながら医院で行なわれた。

研究者たちは、患者たちの舌下にアレルギー源を与え、量を少しずつ増やしていくこの方法はいつかアレルギー治療に適用されるであろう事を示唆している。

ただ、研究は専門家による厳しい条件の下で実行している。

患者にとってほんの少しのピーナッツでも死に至る反応を示す可能性がある。多くの患者は、ピーナッツを含むものを食べたときに出るアナフィラキシーショックなどの緊急事態のために、エピネフリン等を含む特別な薬を常に携帯しなくてはならず、バークス博士は個人が自分で治療するのは危険であると警告している。

▼外部リンク

the Journal of Allergy and Clinical Immunology誌 サイト
http://www.jacionline.org

このエントリーをはてなブックマークに追加
 

同じカテゴリーの記事 医療

  • 「働きすぎの医師」を精神運動覚醒テストにより評価する新手法を確立-順大ほか
  • 自己免疫疾患の発症、病原性CD4 T細胞に発現のマイクロRNAが関与-NIBIOHNほか
  • 重症薬疹のTEN、空間プロテオミクス解析でJAK阻害剤が有効と判明-新潟大ほか
  • トリプルネガティブ乳がん、新規治療標的分子ZCCHC24を同定-科学大ほか
  • トイレは「ふた閉め洗浄」でもエアロゾルは漏れる、その飛距離が判明-産総研ほか