医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

QLifePro > 医療ニュース > 医療 > 東大 認知症原因遺伝子の一つプログラニュリンの役割を解明

東大 認知症原因遺伝子の一つプログラニュリンの役割を解明

読了時間:約 1分8秒
このエントリーをはてなブックマークに追加
2013年01月11日 PM12:13

プログラニュリンの役割とは

東京大学大学院農学生命科学研究科の研究グループは、細胞の増殖や腫瘍の形成、創傷の治癒などに関与するの役割を、マウスの実験で解明したと発表した。

プログラニュリンは、認知症の発症との関連が着目されているタンパク質。

研究グループは、脳傷害部位に集積する活性化ミクログリアが、プログラニュリンを発現し、そのプログラニュリンミクログリアの過剰な活性化の抑制や、脳傷害時の炎症反応を軽減する役目を持つことを発見した。

この発見は、プログラニュリンが神経変性の抑制に関連している可能性についても示唆される。

(この画像はイメージです)

神経変性疾患を抑制するメカニズムの一つ

研究グループでは、脳傷害マウスでその回復過程を調査した。その結果、脳傷害マウスでは、プログラニュリンを発現する活性化ミクログリアが増えることを確認した。

一方、プログラニュリンの遺伝子が欠損したマウスでの実験では、ミクログリアが過剰に活性化し、炎症反応が進むことが分かった。

このことから、プログラニュリンは、脳に傷害が起こったときに傷害部位に集まる活性化ミクログリアで生成され、ミクログリア自身の過剰な活性化などを抑制し、炎症反応を抑える役目を果たしていると言える。

神経保護作用を持つと考えられているプログラニュリンの仕組みは今まで明らかになっていなかったが、この研究により、その作用が、神経変性疾患を抑制するメカニズムの一役になっている可能性が見いだされたと言える。

この研究成果は、「Neuroscience」に、2012年12月28日に掲載されている。

▼外部リンク

東京大学大学院農学生命科学研究科
http://www.a.u-tokyo.ac.jp/topics/2013/20130108-1.html

Neuroscience
http://www.sciencedirect.com/science

このエントリーをはてなブックマークに追加
 

同じカテゴリーの記事 医療

  • 「働きすぎの医師」を精神運動覚醒テストにより評価する新手法を確立-順大ほか
  • 自己免疫疾患の発症、病原性CD4 T細胞に発現のマイクロRNAが関与-NIBIOHNほか
  • 重症薬疹のTEN、空間プロテオミクス解析でJAK阻害剤が有効と判明-新潟大ほか
  • トリプルネガティブ乳がん、新規治療標的分子ZCCHC24を同定-科学大ほか
  • トイレは「ふた閉め洗浄」でもエアロゾルは漏れる、その飛距離が判明-産総研ほか