平成21年施行の改正薬事法に伴って、一般用医薬品のインターネット販売は大幅に規制されるところとなったが、この厚生労働省令は違法であるとして、健康関連商品を取り扱うネット販売会社2社が、国にその販売権利の確認などを求めた訴訟の上告審で、最高裁第2小法廷(竹内行夫裁判長)は、判決期日を来年の2013年1月11日と指定した。
最高裁が二審の結論を変更する際に必要な弁論が開かれていないことから、販売の権利を認め、国側の敗訴とした二審東京高裁の判決が確定される見通しとなっている。
(この写真はイメージです)
この訴訟の原告は「ケンコーコム」と「ウェルネット」。両社は、厚生労働省の規制は過度なものであり、憲法で保障された営業の自由を侵害していると主張してきた。一方、対する国側は、副作用リスクのある医薬品は、専門家による対面での情報提供が不可欠であり、規制には合理性があるとしていた。
改正法は、OTC薬を副作用リスクに応じて3つに分類し、このうちとくにリスクが高いとされる「第1類」と比較的リスクが高い「第2類」に分類されるものについて、「薬局等で対面で販売させなければならない」と定めており、離党居住者や継続使用者など、一部の特別な場合を除いて、ネット販売などを禁止している。
2010年3月の一審東京地裁は、副作用による健康被害防止の観点などから、安全確保のため規制は合理的で適法とし、国側の主張を認めていた。
一方、2012年4月の二審東京高裁は、改正薬事法はOTC薬のネット販売を一律に禁じておらず、法律の委任無しにネット販売を禁じた厚生労働省の省令は、「国民の権利を制限する規定であり違法」と判断していた。
これを受け、国側は上告していたが、このまま仮に来年の最高裁判決で二審判決の内容が確定することとなると、規制は再び見直しになる可能性が高い。今後の動向が注視されるところである。
▼外部リンク