東京都は、地震等の大規模災害時における「薬局のモデルBCP(事業継続計画)」および「地域連携マニュアル」を作成する。災害時においても、都民への医療提供を継続するため、東京が被災した際の薬局機能の維持・早期回復を支援するのが目的。東京都では、病院版のBCPを既に7月に作成しているが、薬局のBCPについては「恐らく全国でも初めてでは」(福祉保健局健康安全部薬務課)とする。いずれも今年度末までに作成し、来年4月以降に各薬局に配布・説明会を行い、普及啓発していく。
都では昨年度の事業として、東日本大震災の被災地における医療物資の供給実態調査を行っている(自治体、医療関係者・団体、卸業者・団体を対象。調査は三菱総合研究所に委託)。同調査に基づいて、先月14日に「東京都地域防災計画」の修正を決定しており、今回の薬局BCP、地域連携マニュアルの作成は、修正された新たな防災計画に則ってのもの。
先の被災地における実態調査では、支援物資として送られてくる医薬品等が、自治体等の集積所を経て円滑に医療現場に届けられなかったという、医薬品供給体制の問題点が浮かび上がった。それと同時に、病院薬剤部と(院外)薬局との連携の不十分さも、明らかになっている。
例えば、▽閉鎖している薬局が多かったため院外処方に切り替えざるを得ず、病院の負担が大きくなった▽一部の病院内には支援物資の集積所が設置され、それを管理するために病院薬剤部の人手が奪われ、本来業務である患者対応に支障を来した──など。こうした点が、今回の薬局BCP作成の大きなキッカケでもある。
「薬局BCP」は、医療提供の継続には医療機関だけでなく、院外処方箋を応需する薬局の再開が必須ということで、個々の薬局の早急な機能回復を目指したもの。「地域連携マニュアル」は、地域の薬局同士、地域の薬局と病院、さらに甚大な被害を受けた地域を、他の地域の薬局等が支援できることを盛り込む。
作成は三菱総研に委託し、都内の薬局、病院薬剤部、薬剤師会、さらには東北の被災地関係機関にヒアリングを行い、課題を検討していく計画だ。