痛風のリスクに関わる遺伝子ABCG2
ビー・エム・エル(BML)は痛風・高尿酸血症の発症リスクを評価する遺伝子検査の受託を開始した。痛風の病因遺伝子がABCG2であることは、東京大学などの研究グループが明らかにしていたが、今回特許の使用許諾を得たという。
検査では2ミリリットルの血液からABCG2遺伝子の変異パターンを解析する。ABCG2は尿酸の排泄機能に関わっているため、これの変異は排泄機能の低下につながる。低下率を基準にして個人の痛風リスクを判定するものである。
痛風遺伝子研究の背景
小腸・腎臓など多くの組織に存在するABCG2には、抗がん剤を含む薬物や発がん性物質を細胞外へ輩出する働きがある。このことは抗がん剤耐性の研究で知られていた。輸送を担うABCG2トランスポーターが腎臓、腸管に発現することから、尿酸排泄としての役割を予測、確認するにいたった。
生活習慣病のような“ありふれた疾患”に関わる遺伝子をゲノムワイド解析で同定した場合、リスクの増加は通常2倍以下だが、痛風におけるABCG2遺伝子では症例の1割で26倍ものリスクの増加がみられた。ABCG2は痛風の病態解明に迫る重要な遺伝子と考えられる。
また、ABCG2 遺伝子の遺伝子変異パターンの個人差が、血液中の尿酸値や痛風発症リスクの個人差につながることも明らかになった。ABCG2の変異パターンは遺伝子の2つの変異を調べれば予測できるため、簡単な検査でリスクを判定できる。痛風の予防、治療への貢献が期待される次第である。
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