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レギュラトリーサイエンス、来年にも新教科書完成へ―薬学部教育に導入目指す

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2012年12月18日 AM09:42

6年制薬学部で医薬品レギュラトリーサイエンス(RS)教育を体系的に行うため、武蔵野大学薬学部の豊島聰教授らが中心となって新たな教科書を作成する。来年にも完成する見通しで、学部教育に順次導入していきたい考えだ。現行の薬学教育モデル・コアカリキュラムでは、教育内容が分散し、到達目標(SBO)も医薬品RSを意識できる表記となっていないことから、新たに体系的な教科書を作成すると共に、専門性の高い教育担当者を育成し、学問領域としての確立を目指す。

13日に都内で開かれた日本薬学会主催のレギュラトリーサイエンスフォーラムで、薬学部の医薬品RS教育に必要な教科書のあり方を議論し、豊島氏は、医薬品RSに精通した人材育成には、体系的な教育を行うことができる教科書が必要と強調した。

ただ、現行のモデル・コアカリキュラムで医薬品評価に関わるRSは、C17(医薬品の開発と生産)とC18(薬学と社会)の一部、卒業実習カリキュラムの一部など、RS教育がモデル・コアカリキュラムの中で分散し、各ユニットの到達目標(SBO)も医薬品RSを意識、判断できる表記となっていなかった。

そのため、医薬品RSは確立された学問領域として位置づけられておらず、教育内容の標準化が難しかった。教育担当者も実務家教員、薬事法規担当教員、基礎系教員、医師等の臨床系教員と分散しているため、専門性に乏しいのが現状。

また、改訂中のモデル・コアカリキュラムでは、全体の到達目標のスリム化が検討されているが、豊島氏は「医薬品RSに関わる到達目標の多くが削除される事態になれば、各大学でRS教育が行われなくなることが危惧される」と危機感を示した。その上で、大学におけるRS教育を推進していく必要性を強調。医薬品RSを科目として位置づけるための一般目標、到達目標の整備と教育担当者の育成を求めた。

一方、アステラス製薬の加山誠氏は、製薬企業が求めるRS教育について、「薬学部教育の中で多角的に考え、評価するプロセスを学び、RSの土台作りをしてほしい」と要望した。具体的には、▽医薬品開発の基本プロセスを理解すること▽産官学を交え、CTD、審査報告書等を題材に演習を行い、医薬品開発・審査承認プロセスに関して多角的な視点、考え方を学ぶこと――が重要とした。

医薬品医療機器総合機構の宇山佳明氏は、「審査員は様々なスキルを要求されている」と指摘。行政が求める薬学生にバランスの取れた人材を挙げ、特にコミュニケーション力、国際感覚、交渉解決力に関する教育を充実させていく必要性を訴えた。また「講義と演習では学生の姿勢が違う」として、ケーススタディ形式の演習や大学実習でのディベート、グループワークの実施など、演習の必要性を強調した。

現在、各方面からの意見を踏まえ、豊島氏らを中心に、医薬品RSの体系的な教科書作りが進められており、来年にも完成する予定。体系的な教科書を作成し、学部教育へ導入し、医薬品RSを学問領域として確立させたい考え。

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