高度化する救急業務
消防庁が平成23年度の全国の救急・救助活動の現況を公表した。救急車による出動件数(570万7,655件)、搬送人員(518万2,729人)とも過去最多。
救助出動(8万7,896件)は過去第2位、救助活動件数(5万7,641件)は過去最多、救助人員(6万3,618人)は過去第2位。救急車は約 5.5 秒に1回の割合で出動し、国民の約 25人に1人が搬送される計算になる。
救急車出動件数の事故種別は、多い順に急病(62.4%)、一般負傷(14.2%)、交通事故(9.7%)。搬送人員は高齢者(269 万 2,581 人)が最も多い(52.0%)。
現場到着までの所要時間(全国平均8.2分)と病院収容までの所要時間(全国平均38.1分)は毎年微増している。
救急隊員は5万9,847人。このうち救急救命士が2万2,930人。救急救命士が行う救急救命処置(除細動、器具を用いた気道確保、静脈路確保、アドレナリン投与)は、11 万 4,860 件(8.2%増)。救急業務の高度化が表れている。
重要性増すバイスタンダー
救急搬送された心肺機能停止傷病者の43.0%がバイスタンダー(救急現場に居合わせた人)による応急手当てを受けた。実施率は過去最高。応急手当が行われた場合の1ヵ月後生存率は14.2%、行われなかった場合は8.6%。
一般市民の除細動実施は 1,433 件(前年より10.4%増)になる。除細動が実施された場合の1ヵ月後生存率は45.1%、除細動未実施では10.3%。除細動実施の1ヵ月後社会復帰率は 38.9%、除細動未実施では 6.2%。
救急隊員の心肺蘇生開始までの時間が10分を超えると1ヵ月後生存率は急激に低下する。バイスタンダーの救命効果とともに、一刻も早い119番通報が重要なことはいうまでもない。
*東日本大震災の影響により平成 22 年。23 年の釜石大槌地区及び陸前高田市の消防本部のデータは除かれている。
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