■坂巻氏らが調査
欧米で一般化している小包装製品の箱出し調剤の有用性を検討するタイムスタディが上田薬剤師会会員薬局で、ジェネリック薬(GE薬)メーカーの協力を得て行われた。その結果、全調剤時間の中で調剤時間が1分以上有意に短縮したことが明らかになった。検討を行った坂巻弘之教授(名城大学臨床経済学教授)は小紙に対し「今後、これらの成果を製薬企業に活用してもらえることを期待している。製品へのバーコード表記などのあり方についても、小包装の場合の方法などが検討される必要がある」としている。
坂巻氏らは、GE薬を対象にGE薬メーカーの協力を得て、小包装製品を製造し、薬局において小包装製品による調剤を行った場合の調剤にかかる薬剤師の時間、患者への指導・説明時間、患者満足度の変化を検討した。また、欧州での小包装流通やGE薬メーカー、卸における調査も併せて行い、小包装流通のわが国への導入の可能性についても検討している。
今回、フィールド調査としての薬局(上田薬剤師会会員薬局8薬局)で模擬処方箋による調剤を実施。小包装製品は日医工で生産され、調査協力卸を通して調査薬局に供給された。模擬処方箋は、調査薬局の薬剤師とは別の薬剤師や医師によって作成され、採用品目に応じて調査薬局ごとに作成した。
また、各模擬処方箋について「一般包装用」と「小包装用」のそれぞれをセットして作成。調査薬局では、必ず1セットの調剤を実施するが、処方箋は調査委員によってランダムに提出される。
小包装製品での調剤は箱出し調剤(開封せずに調剤)、一般包装製品は薬局採用製品を用いて調剤し、計数(ピッキング)、調剤鑑査の業務時間の変化を調べた。
計数調剤に要する時間は、小包装製品では平均50・7秒、一般包装製品は98・1秒となり、47・4秒短縮された。調剤鑑査にかかる時間もそれぞれ平均値で27・0秒、45・8秒であり、小包装製品を用いた方が18・8秒短縮された。全調剤時間では66・2秒の短縮、調剤ミスが一般製品で1件認められた。
さらに、患者アンケート(n=49)では待ち時間が「短くなったと感じた」45%、「変化は感じなかった」43%だった。短く感じた22人での待ち時間の変化について、短くなったのが「1~2分」は77%で最も多く、次いで「1分未満」が18%となっている。
一方、薬剤師の服薬説明の内容は十分であったかに関しては、「以前から十分」が49人中45人(92%)だった。
報告書では、小包装製品による箱出し調剤が国際的な潮流である中、このような結果を踏まえ、調剤時間の短縮と調剤過誤防止につながる可能性が高く、薬剤師業務の効率化につながると指摘。ただ、小包装によるトレーサビリティの改善、在庫負担の軽減についても今後調査することが必要としている。
坂巻氏は他の関連調査結果などを踏まえ、小包装製品による箱出し調剤は、薬剤師業務の効率化と服薬指導に充実につながる可能性が高く、わが国でも普及が望まれる――と指摘する。