マンモグラフィーは不要な治療につながるのか
この研究は医学誌のthe New England Jounal of Medicinで発表された。アメリカの研究によれば、マンモグラフィーは乳がんを大きくなる前、ほんの小さなしこりの段階で発見してきたが、同時に100万件以上は命に別状のないしこりをも除去されたと見ている。
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発見された3分の1が治療不要
研究者たちは1976年から2008年までの国内のマンモグラフィー調査とがんの統計記録を使い、まだ確認されていない早い段階で乳がんを発見した数と、それに対して後にリンパ腺まで広がった数を追跡した。
それによれば、マンモグラフィー導入後の発見されたしこりの段階や数において大きな違いは発見できなかったが、マンモグラフィーはがんの早い段階を2倍以上発見した。
ただ、5万から7万件、年間にして最大3分の1の乳がんやしこりが治療不要であった。このことにより、乳がんは過剰に治療されているとの見方もあり、これは多く信じられているほどスクリーニングは役立つものではないという新証拠を加えるものである。
また、研究者たちは、スクリーニング対象となる、40歳以上の女性の乳がんによる死の割合が28%減少したことを見出したが、それは治療の進歩のおかげであって、スクリーニングのおかげではないとした。
マンモグラフィーは不完全なスクリーニングでもあるとし、間違った警告を出し、がんに発展しないような生体組織検査までをも促す。新しい研究はこの過剰治療という危険性に注目している。
それでもスクリーニングは必要
それでも致死のがんを発見し、数多くの生命を救うマンモグラフィーにはまだ価値があるという主張もある。
いわゆるがんという身体の異常は、常に健康を脅かしたり真の悪性というわけではない。ただ、どれがそうだとわかる方法は確立しておらず、だから多くの女性たちは実際には必要の無い手術や化学療法を受ける羽目になる。
アメリカがん協会の医薬局代表レン・リッチェンフィールド博士は、この研究をマンモグラフィーの意見書としてとるべきだとし、他の調査はマンモグラフィーの価値を確認していると注釈した。しかし過剰治療は問題であるともしており、個々の女性にどのがんやしこりが治療を必要としているを話すことはできないと述べた。
アメリカ政府はマンモグラフィーによるスクリーニングアドバイスを50歳から75歳までを対象に1年おきに実施するように義務付けている。
▼外部リンク
the New England Jounal of Medicin
http://www.nejm.org