中央社会保険医療協議会の薬価専門部会は5日、長期収載品の薬価のあり方に関する中間取りまとめを了承した。一定期間を経ても後発品への置き換えが進まなかった場合に長期収載品の薬価を特例的に引き下げるルールの導入や、後発品の置き換え率を計算する際に生薬や局方品など、後発品に置き換えられない医薬品を分母から除外することなどを盛り込んだ。
中間取りまとめでは、後発品への置き換えが進まない場合の長期収載品の特例引き下げルールの導入を盛り込む一方で、前回のたたき台にはなかった「新薬創出・適応外薬解消等促進加算の導入についても併せて議論する」を追加した。
長期収載品の薬価の下げ幅や、「初めて後発品が薬価収載された既収載品の薬価の改定の特例」の引き下げ幅については、次期薬価制度改革の議論の中で検討することとした。
複数の委員から、新薬創出加算の本格導入に向けた議論を行うに当たり、同加算を試行導入した際の条件である、適応外薬や新薬開発の効果を検証する視点を示すべきとの意見があり、加筆・修正を加える。
長期収載品の新ルール導入が決まったことを受け、加茂谷佳明専門委員(塩野義製薬常務執行役員)は、長期収載品の比率が高い企業があることに言及した上で、新ルールの詳細を検討する際には、「企業経営への影響を考慮すると共に、新薬創出等加算の導入、保健医療上、必要性の高い医薬品の算定方式のあり方の導入、特例引き下げなども加味しながら、薬価制度全体の中で議論してほしい」と要望した。
後発品の置き換えについては、置き換え可能な市場における後発品の割合を新たな指標に用いるため、後発品置き換え率を計算する際、分母を「後発品のある先発品の数量+後発品の数量」とし、分子を「後発品の数量」とする考えを示した。
後発品と先発品の薬価差については、市場実勢価格を反映することを原則とした上で、許容する方向性を示したが、どの程度の薬価差が適正かについては、今後の議論の中で検討する。