鎮痛薬感受性(効きやすさ)に遺伝的要因
東京都医学総合研究所が、東京歯科大学などとの共同研究で、鎮痛薬感受性(効きやすさ)と依存重症度に影響する遺伝子配列の差異を発見した。遺伝子検査によって、鎮痛薬の適量や重度の依存リスクを予め知ることができるという。
鎮痛薬感受性には個人差がある。患者ごとの効きやすさ、適量の把握は疼痛治療には欠かせず、時間、コスト、労力をかけてきた。一方で、依存性物質の摂取には依存の重症化というリスクがあるが、その依存度にも個人差がみられる。自分の依存度を知らずに、酒やたばこの依存性物質を摂取して深刻な依存症に陥る場合がある。こうじて非合法の依存性薬物に近づく可能性も考えられる。
個人差が発生する原因の一つに遺伝的要因(各個人の遺伝子配列の違い)が考えられる。今回明らかにしたのが、鎮痛薬の必要量と特定の遺伝子多型との関連だ。
疼痛治療、依存症治療に展開
研究グループは下顎形成外科手術に着目した。歯の噛みあわせの矯正手術で、術前に痛みのない健常者、画一的な術式、同程度に生じる強い痛み。以上から、術後の鎮痛薬感受性に表れる個人差が明確。薬量と患者の遺伝子多型をゲノムワイド関連解析(GWAS)で調べ、オピオイド性鎮痛薬(強い鎮痛作用。モルヒネ・フェンタニルなど)に関連するrs2952768多型を発見、術式のちがう開腹手術の術後疼痛でも再現した。
この遺伝子多型の遺伝子検査が医療上有用であるかはこれから検証される。オピオイド感受性や依存重症度のメカニズムも解明する予定。鎮痛薬投与量を予測したテーラーメイド疼痛治療はすでに行っているが、今後はがん性疼痛患者への実施を目指していく。
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東京都医学総合研究所
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