■薬価差目当てに苦言‐原医政局長
5日に基調講演を行った厚生労働省の原徳壽医政局長は、日本でGE薬が浸透しない理由として、「文化的な背景が根底にあるということを、しっかり認識する必要がある」と指摘。先発品と同じ成分のGE薬でも包装が貧弱だったり、印刷がずれているなど、「本質的でない部分に手間をかけないと普及しない」との考えを示し、「文化的な背景を踏まえてGE薬を広げていかなければいけない。メーカーもそういう販売戦略が必要」と述べた。
その上で、厚労省が推進してきたGE薬の使用促進策を説明。ただ、これまでの診療報酬改定で導入してきた誘導策に関連し、「同じ成分であれば、薬価差の大きいGE薬を使おうと考え、どんどん薬価の安い製品に切り替えている薬局があると聞く。それでは、患者さんは処方された薬が変わったと思ってしまう」と問題事例を挙げ、「患者さんの不安を十分考えて対応してほしい」と一部薬局の姿勢に苦言を呈した。
また、GE薬メーカーに対しては、「未だに医療現場から安定供給や品質の不安が聞かれる。医師の不安を解消しなければGE薬は普及しない」と指摘。「しっかりした安定供給体制を取ってほしい」と求めた。
一方、セッションでは、世界保健機関(WHO)のレンビット・ラゴー必須医薬品・医薬品政策部調整官が講演。今年、パキスタンで品質の悪い心臓病薬が製造され、100人以上の死者を出した事件に言及し、「まだ品質保証体制が不十分な国々があり、GE薬の品質をいかにグローバルに担保していくのかが問題になっている」と課題を指摘。「品質の高い医薬品を、いかに貧しい人々に届けるかが重要」とGE薬の役割を訴えた。
世界貿易機関(WTO)のロジャー・カンプ知的財産権部門参事官は、GE薬をめぐる知的財産権と公衆衛生の接点を解説。知的財産権保護と医薬品アクセスのための強制実施権などを規定したTRIPS協定について、「それだけで全ての問題は解決できない。知的財産の管理、薬事規制、品質保証、人権保護など、全てを統合し、様々な角度からアプローチすることが必要」との考えを示し、GE薬メーカーに対し、自由貿易や公衆衛生などを含めた多面的なアプローチを求めた。
写真:今後のGE薬のあり方が話し合われた