脳卒中になってしまっても、電気刺激で麻痺を改善
重度の脳卒中麻痺というのは、リハビリを継続しても改善しにくいことが多い。しかしその考えを覆すような治療法を考えたのが慶應大リハビリテーション科講師である藤原俊之氏だ。四肢を動かすとき起こる大脳からの信号に合わせて、筋肉に微弱な電気刺激をすることにより麻痺を改善するという新たな治療法が注目を集めている。
藤原氏は随意運動介助型電気刺激装置を用いて、脳卒中片麻痺患者の治療法「HANDS」を考案した。これまでに120人ほどの患者に施行したところ、約半数が麻痺している手の指の動きができるようになった。
HANDS療法は、麻痺側の腕にIVESと装具を装着し、大脳からの信号による麻痺している側の微弱な筋活動をIVESで捉えて、その活動に応じた電気刺激を同時に筋肉に与えることによって、指を伸ばす動きを助けることができる。
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リハビリテーションの1つとして治療を行う
患者によって効果は異なるが、数週間毎日リハビリテーションを行うと、電気刺激の補助がなくても使えるようになる。そのことによって日常生活で必要な手を握ったり開いたりする動作や、小さなものをつまんでそれを離すなどの動作ができるようになる。またそれだけでなく麻痺側の手も使うということが普通になるため、治療効果の維持が期待されている。
もちろん現時点でHANDS療法は、まだ万能ではない。この治療の適応は脳卒中後の片麻痺患者のみであり、それ以外にも様々な条件をクリアしていないと治療を行うことができない。
そのためこの治療法は、あくまで通常のリハビリテーションに加えて行うものであり、HANDS療法だけを行うということはない。しかし麻痺は治らないという長年の考え方は、この治療法によって失くすことができる。
▼外部リンク
慶應義塾大学医学部リハビリテーション医学教室
http://www.keio-reha.com/gyoseki/hands_therapy.htm