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日本OTC医薬品協会・セミナー、中学校へのくすり教育、「見える薬剤師」の機会に―東京薬大・加藤氏が講演

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2012年12月03日 AM10:00

東京薬科大学薬学部教授の加藤哲太氏は、日本OTC医薬品協会がこのほど都内で開いた「中学校への“くすり教育”導入から半年~その現状と今後の課題」と題するセミナーで講演し、中学校にくすり教育が導入され、薬剤師がくすり教育に参画するケースが徐々に増えているとする一方、「薬剤師がくすりの授業を行っているケースは、まだ少ない」と指摘。その上で、「中学校へのくすり教育導入は薬剤師が“見える薬剤師”になるために非常に良い機会だ」とし、こうした取り組みに対してのOTC業界関係者、メディア関係者への理解と支援を求めると共に、「薬剤師がくすり教育・くすりの授業へ参画するために、どのような方策があるのかを現在検討している」と説明した。

加藤氏は「くすり教育の充実に向けて―学校と薬剤師・保護者の連携」と題して講演。この中で、くすり教育の今後に関しては、「やはり薬剤師の参画が必須だと思う。薬剤師が参画するならば、どのような方策があるかを考えなくてはならない」とした。

具体的な方策の一つとして、生徒に対し、教科担任(指導・評価)、養護教諭(授業コーディネーター)、(くすり教育のサポーター)によるトライアングル授業を示した。薬剤師のサポーターとしての役割については、教材・資材の提供および指導案の助言を挙げた。

一方で、トライアングル授業の問題点にも言及。「これまでは生徒たちを体育館などに集めて話をしていたが、学習指導要領に盛り込まれたことによって、基本的には各クラスごとの授業になる。薬剤師が2~3日連続で学校に行って授業をしている余裕がないために、トライアングル授業という形が取りづらくなっている」とし、別の方策を検討し始めていることを説明した。

加藤氏が示した方策は、[1]薬剤師がまず強化担当教員と様々な相談をし、同じコンセンサスを持ち、授業は担当の教員にやってもらう。その後で特別活動や総合学習の時間を使って、薬剤師が生徒の前に立ち、授業をまとめた講義をする[2]前もって生徒にアンケート調査をして、興味を持っている点を抽出しておいて、この結果に基づいて授業する――という形で、こうした方策も含め、最善の方策を現在検討しているという。

保護者との連携に関しては、「連携というよりも、保護者へのくすりの教育が必要。生徒がくすりについて学んだことを実際に使えなければ、身についていかない。身につけていくためには生徒だけでなく、両者の薬に対する知識等を上げていくことが大事」と指摘した。

加藤氏は、保護者に伝えたいこととして、▽薬の正しい使い方(添付文書は信頼できる唯一の法的根拠のある医薬品情報源)▽商品名が同じでも、「小児用」などがつく場合、主要成分等が異なることがある▽お薬手帳の活用▽くすり教育が中学校で導入されたこと――などを挙げた。

■生活者のセルフM実践にOTC関連の情報不足も

この日のセミナーでは、マーケティング調査大手インテージの時田悟氏(ヘルスケア事業本部副本部長)が、同社とOTC協会が共同で実施した「セルフメディケーションに関する生活者意識調査」の結果を公表した。調査は今回で6回目で、調査対象は医薬品製造、販売・流通、調査会社、マスコミ・広告代理店を除く15~69歳の男女1200人(通常サンプル)。また、若年層のセルフメディケーションに対する意識や行動を把握するため、高校生男女100人、大学生・大学院生男女100人、25歳以下の社会人男女100人も、通常サンプルとは別に確保した(比較サンプル)
主な結果では、セルフメディケーションの正しい説明を示した上でのセルフメディケーションの必要性については、68・2%が「必要」と感じていた。しかし、実際にセルフメディケーションを行えている人は、37・4%にとどまった。

セルフメディケーションに取り組む上では、「自分で対処できるかどうかの判断に自身が持てない」「OTCに関する情報や知識がない」など、約7割が何らかの心配を感じていたことが分かった。

セルフメディケーションに関して「中学生にも必要な知識である」は64・4%が肯定的だった一方、「先生に薬やセルフメディケーションの知識があるか不安」が74・4%に上った。

また、「かかりつけ薬局」についての言葉の認知は、「かかりつけ医師」と比べて低く、「かかりつけ薬局」を聞いたことがある人は50・8%と約半数にとどまった。かかりつけ薬局を持っている人は16・1%で、今後持ちたいとした人は35・6%だった。

時田氏
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時田氏

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