抗悪性腫瘍の薬であるパゾパニブ塩酸塩が発売を開始
抗悪性腫瘍薬のパゾパニブ塩酸塩が薬価に収載されたため、発売を開始した。商品名はヴォトリエント錠200mgである。この薬はグラクソ・スミスクライン株式会社が開発し、2011年11月に希少疾病用の医薬品として指定を受けた。そして2012年9月に製造承認を取得している。
適応するのは悪性軟部腫瘍だけであり、用量は1日1回800mgで用法としては、食事1時間以上前又は食後2時間以降に経口投与である。
悪性軟部腫瘍というのは脂肪や筋肉、神経、血管などの軟部組織に発生する悪性の腫瘍のことであり、重篤な疾患として認識されている。2008年の時点で日本の患者は約3000人と推定されている。
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パゾパニブの試験では副作用も確認
これまで国内で使用されていた抗悪性腫瘍薬は、ドキソルビシン塩酸塩とイホスファミドである。しかしこれらの薬剤が使用できない患者や、治療後に進行してしまった場合には、他に使用できる薬剤がないという状態であった。そのため現場ではこうした状況でも使用できる薬の開発、承認が望まれていた。
パゾパニブは悪性軟部腫瘍に適応する、はじめての分子標的治療薬である。国際的に共同で行われた試験でプラセボと比較すると、無増悪生存期間を約3カ月間延長したということが確認された。
しかし患者の内91.3%に何らかの副作用があった、という結果も出ている。主な副作用というのは下痢や疲労、悪心、高血圧、毛髪変色、食欲減退、体重減少である。またそれ以外にも肝不全や肝機能障が認められていることから、投与する時には添付文書を確認する必要がある。
▼外部リンク
グラクソ・スミスクライン株式会社
http://glaxosmithkline.co.jp/press/press/2012_07/P1000753.html