PADは危険な疾患
サノフィ社が仙台地区のタクシー乗務員約560名を対象に 「足の血圧」測定を行った。これは、末梢動脈疾患(PAD)の早期診断を目的としたもの。その結果、全体の16%にPAD罹患の疑いがあることがわかった。あわせて実施した意識調査によると、PADやABI検査について知らなかった人の割合は70%を占めた。
タクシー乗務員の平均年齢54.2歳は全職種の中でも高く、勤務時間も不規則。ABIの測定値0.99以下が16%だったのは、70歳前後の9%と比べると厳しい数字だ。職業上のリスク要因がPADと関連していることが考えられる。
PADは動脈硬化による下肢血管の狭窄や閉塞で発症する。起因となるのは加齢、高血圧症、糖尿病。悪化すると脳血管疾患、虚血性心疾患に到り、5年後の生存率が70%弱。これは乳がんより低いが大腸がんと同レベル。死因の多くは心血管病。
ABI検査で心血管病を未然に
検査を受けた乗務員の130名ほどが足の冷えや痺れ、「歩くと痛み、休むと治る」などの異常を感じている。しかし、医療機関で診察を受けていないとした回答が半数以上(61%)にのぼった。
この疾患の初期にはしつこい水虫、足の重さがあり、足の痛みを経て重症化したら皮膚のただれ、潰瘍・壊疽、切断も避けられなくなる。足の異常はPADのサインなのだ。
今回の「足の血圧」測定は足関節と上腕の血圧比を計算する検査方法。腕より足の血圧が高ければ健康、低い場合はPADの可能性がある。数値からその重症度を判断できる。
PADの早期発見は心臓、脳の病変の診断につながる。それは、足の動脈硬化が心臓、脳より遅れて進行するとされているためだ。PADを早い段階で見つけられれば、脳梗塞、心筋梗塞を予防することができる。
タクシー乗務員の健康診断にABI検査を取り入れていくことが必要ではないだろうか。
▼外部リンク
サノフィ・プレスリリース
http://www.sanofi.co.jp/