国内初の抗菌薬、満を持して
ファイザーは、グリシルサイクリン系抗生物質製剤、「タイガシル」の発売を開始した。多剤耐性アシネトバクターなど、既存の抗菌薬が効かない耐性グラム陰性菌を対象とした点滴静注用だ。
深在性皮膚感染症、慢性膿皮症、外傷・熱傷・手術創の二次感染、びらん・潰瘍の二次感染、腹膜炎、腹腔内潰瘍、胆嚢炎の治療に適用する。
すでに95ヵ国で製造販売が認められている同製品だが、日本では昨年12月に厚生労働省に承認申請した。それが優先審査を経て、今年9月、わずか10ヵ月のスピード承認を得た。さらに薬価収載の同日の11月22日、晴れて発売の運びとなった。
望まれていた早期承認
大学病院におけるアシネトバクターの集団感染が世間を騒がせたのは2008年から2010年のこと。問題とするべきは、重症な基礎疾患をもつ患者への感染だったが、いずれにしても効果のある抗生物質がないのは明らかで、2011年1月に厚労省は5類感染症として観測対象とした。
感染症関連四学会(社団法人日本感染症学会、社団法人日本化学療法学会、日本環境感染学会、日本臨床微生物学会)は「多剤耐性アシネトバクター感染症に関する提言」(2010年10月)で、新治療薬の開発を重要課題とし、未承認薬のコリスチンやチゲサイクリンの早期承認を求めていた。
なお、タイガシルは国内での投与経験が限定されているため、今後全例調査を実施、症例データを蓄積していく。
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