今回の特徴は、初めて日本人講師も加わり、次代の指導者養成も目指した企画を導入したこと。最終日の午後は、覆面調査(ミステリーショッパー)に関するワークショップを開催し、会営薬局でのロールプレイングを含め、薬剤師自らが質的向上を図る手法も紹介された。ディレクターを務めた坂巻弘之氏(名城大学教授)は本紙に対し、これまでの経験を踏まえ今年度中に全国数カ所でトライアルを実施し、日本に適した研修のさらなる質向上を図りたいと今後の展開を語った。
飯島康典上田薬剤師会会長は、「日本で遅れている部分をしっかり勉強できる仕組みにして、国民に良いサービスを提供したい。参加された方には、今後リーダーとして、どう発展させていくかも考えていただきたい」とし、OTC薬を用いた薬剤師による軽医療マネジメントの普及・定着に向け、研修体制を全国に広げていく必要性を強調した。
オーストラリアから招聘されたTimothy F Chen(シドニー大学薬学部准教授)、Rebekah Moles(シドニー大学薬学部、オーストラリア病院薬剤師会副会長)、Abilion Neto(オーストラリア薬剤師会・公認臨床心理士)がそれぞれ基調講演し、各ワークショップで必要になる知識が提供された。
その後、参加者は7~8人を1グループとして、▽コミュニケーション▽小児疾患▽便秘と頭痛▽皮膚疾患とむねやけ――の4セッションに分かれ、ロールプレイングとケースメソッドによるワークショップが行われた。
今回は、日本人講師(各2人)が「便秘と頭痛」「皮膚疾患とむねやけ」の2セッションを担当。日本独自のケースメソッドなどを作成して実施、同席したChen氏がワークショップの進め方について、日本人講師の対応を含め、評価・コメントを出すなど、運営の改善に向けてのアドバイスも行いつつ進められた。
また、1グループをさらに二つの小グループに分け、各グループ内での討論、意見集約、さらに全体での討論を行い、ケースに応じ、薬を使わない選択肢から、OTC薬の提供や受診勧奨まで、臨床的判断につなげるトレーニングも実施された。