なぜ検査結果を確認しなかったのか
徳島大学病院は、2012年7月に消化器・移植外科で治療を受けていた患者が死亡する事故が発生したことを発表した。
同病院によると、この患者は60歳代の男性。検査で異常値が出ていたのを担当医が見落としたまま、抗がん剤の投薬が続けられ、劇症肝炎による肝不全で死亡した。
病院は、家族に対し経緯を説明し、すでに謝罪をしている。
(この画像はイメージです)
病院の責任は重大
この男性は、消化器系の癌と診断され、腹腔鏡を用いた悪性腫瘍切除術を受けていた。
退院後に外来にて補助化学療法として標準的な抗がん剤内服治療が開始され、治療開始前及び第1コース途中の一般末梢血検査、生化学検査では異常はなかったという。
しかし、治療の第2コース開始の際、末梢血検査と生化学検査が行われたが、担当医は一般末梢血検査で血小板の減少は確認したものの、生化学検査で肝腎機能の異常値が出ていたが、これを確認しないまま、抗がん剤を投与していた。
その後患者は、自宅で意識障害となり搬送され、集中治療室で治療を受けたが、約2週間後、劇症肝炎による肝不全で死亡した。
早急に改善策を整え、各部署で実施中
病院では、男性が死亡した直後に調査委員会を設置し、検証を行ってきた。
委員会では、劇症化の原因は薬剤の副作用の可能性が高く、2コース開始の時点で抗がん剤治療を中止しても劇症化を防ぐことができたかどうかは不明としながらも、継続して投与したことが患者の予後に影響を与えた可能性は否定できないとし、病院の責任は重大であると判断している。
病院では、調査委員会から提案された改善策を各部署で実施し、その効果について検証を行っている。
▼外部リンク