生活保護の医療扶助をめぐっては、一部自己負担の導入と後発品の原則化が焦点となった。財務省は、後発品の使用状況を数量ベースで比較した結果、一般受診者の23・0%に対し、生活保護受給者が20・9%と低いことなどを指摘。後発品の使用原則化を提言した。
厚労省は、生活保護受給者の9割が家族のいない単身者で、患者本人に納得して服用してもらうことが基本と慎重姿勢を示したが、評価者からは、政府が効能・効果が同等と認めている後発品を義務化しないことに疑問の声が相次いだ。
民間の市川眞一氏(クレディ・スイス証券)は、「財政状況が厳しい中で、少なくとも先発品と同等の効能・効果である後発品の義務化を真剣に検討すべき時期ではないか」と主張。議論に参加した岡田副総理も、「生活保護受給者で所得の低い人は、もっと後発品の使用率が高いはず。効能・効果が同一の後発品については、使用を義務づけることに一歩踏み込むべき」と発言し、流れを作った。さらに岡田氏は、処方箋の変更不可欄にも疑義を唱え、「生活保護受給者に後発品を使ってはいけないとする医師を認めるべきか疑問。そこまでの自由が生活保護にはないのでは」との考えを示した。
評価結果は、評価者12人中5人がモラルハザード防止に向けた医療扶助の見直しを支持。そのうち、後発品の原則化には4人が賛同した。討議では、強制力の強い「義務化」を求める意見が大勢を占めたが、評価結果では後発品の使用「原則化」とし、今年の見直しの中で直ちに取り組むべきと提言した。
■後発品の価格見直しを‐市販類似薬は毎年検証
一方、後発品の使用促進については、市川氏が「価格のインセンティブが働いていないため、日本で後発品の使用が進んでいないのではないか」と問題提起。後発品の初収載薬価が先発品の7割という設定にも疑問を示し、さらなる薬価引き下げを迫った。
評価結果は、後発品の価格見直しに加え、先発品と後発品の薬価差額の一部自己負担化など、価格の抜本的な見直しを検討すべきと提言した。
また、市販品類似薬については、厚労省側が胃腸薬のファモチジンを例に市販薬と医療用医薬品の違いを説明。評価者側からは、昨年の提言型政策仕分けを受け、2012年度診療報酬改定で、単なる栄養補給目的でのビタミン剤の投与を保険対象外としたことを評価する意見も出たが、質問や意見も少なく、厚労省側との議論も終始かみ合わなかった。
評価結果は、市販品類似薬の見直しに5人が賛同。そのうち、「保険対象から外す」を2人、「自己負担割合の引き上げを試行」を5人が支持し、自己負担率の引き上げや保険対象の可否について毎年検証を行うべきと結論づけた。