厚生労働省が来年の次期通常国会への提出を目指している薬事法改正案で、少人数の治験で有効性や安全性が確認できれば特別に早期に承認するという新たな仕組みの導入を検討していることが分かった。iPS細胞(人工多能性幹細胞)などを用いた再生医療製品の患者アクセスを迅速化することを目的としたもので、早期承認した製品を患者に提供する場合は、あらかじめリスクを説明して同意を得る。早期承認を容認する一方、市販後もさらなる安全性・有効性の検証を行い、承認を失効するか継続して市販できるかどうかを判断する。
厚労省が検討している改正法案では、従来の医薬品や医療機器とは異なる再生医療製品の特性を踏まえ、新たに再生医療製品の定義を薬事法に置く。
その上で、品質が不均一な再生医療製品の早期実用化に対応するため、少人数の治験で有効性が示唆され、安全性が確認できれば、特別に早期に承認できる仕組みを導入。承認後に改めて有効性、安全性を検証し、十分な効果や安全性が認められなければ承認を失効させる。
導入が検討されている新トラック制では、10人程度の治験で、早期承認制度の対象とすることも想定しており、医薬品で10年程度かかるとされる治験が4~5年までに短縮できるという。
また、市販後の安全対策を強化するため、再生医療製品を使用した患者の情報のデータベース化にも取り組む。厚労省医薬食品局安全対策課は、今年度予算の予備費で2000万円を計上。再生医療製品を使用した患者の長期にわたるフォローアップを目的に、患者登録システムの構築に向けた検討に着手している。
再生医療製品の規制・制度をめぐっては、6月に政府の医療イノベーション会議がまとめた5カ年戦略で、「再生医療製品の定義を薬事法に置く」「再生医療製品の特性を踏まえた規制の構築」「市販後のフォローアップの仕組み構築」について検討することが明記されていた。