売上高を見ると、国内首位の武田は、子会社化したナイコメッド社の海外売上高が寄与し、前年同期比12%増の7869億円と二桁増収を達成した。
主力の高血圧症治療薬「カンデサルタン」、糖尿病治療薬「ピオグリタゾン」、胃潰瘍治療薬「ランソプラゾール」が二桁減収と落ち込んだが、国内新製品群や欧州、アジアなどの新興国で大きく伸長した。
第一三共は、6・2%増の4842億円。主力の高血圧症治療剤「オルメテック」と消炎鎮痛剤「ロキソニン」が売上を減らした。しかし、ランバクシーが米国で5月までFTF独占販売の対象だった抗コレステロール血症治療薬「アトルバスタチン」後発品が寄与して36・5%増の1068億円と、為替差損を差し引くと500億円近く拡大した。
アステラス製薬は、グローバル製品の過活動膀胱治療剤「ベシケア」、キャンディン系注射用抗真菌剤「マイカミン/ファンガード」がいずれも全世界で伸長したものの、免疫抑制剤「プログラフ」、排尿障害改善剤「ハルナール」が売上を減らし、1・5%減の4768億円の減収となった。
大塚HDの医療関連事業は、主力の抗精神病薬「エビリファイ」がグローバルで拡大し、1・6%増の2054億円と順調に推移したほか、国内で新製品が伸長。4・4%増の3981億円と増収を確保した。
一方、エーザイは、薬価改定や後発品の影響を受けたアリセプトが国内や欧州での低迷により34%減の534億円、プロトンポンプ阻害剤「パリエット」も落ち込み、12・9%減の2885億円と二桁減収となった。
営業利益は、武田がナイコメッドの買収影響で48・6%減、エーザイが26%減と二桁減益となったほか、第一三共も研究開発費と売上原価の増加で8・2%減。アステラスは販管費・一般管理費の圧縮などにより増益を確保。大塚は研究開発費と販売促進費の減少が寄与し、二桁増益で着地した。
通期では、アステラスと第一三共が増収増益、大塚は利益予測を開示していないが増収を予想。武田はナイコメッドの買収費用の計上もあり増収減益、エーザイは引き続き減収減益を見込む。
■加盟社27社平均で約2・1%の増収‐製薬協が粗集計
日本製薬工業協会の医薬産業政策研究所は、14日に都内で開催した記者会見で、製薬協加盟社27社の13年3月期中間決算の粗集計を明らかにした。会員社27社の平均売上高では前年同期比で約2・1%増と増収を確保した模様。薬価改定の影響で国内売上高は約0・5%減となったが、海外売上高は特許切れの影響を受けながらも、約7%増と拡大した。
一方、営業利益は、売上原価や販管費が6%近く上昇した結果、約14%減の二桁減益に落ち込んだ。営業利益率も前年同期の約18%から約15%に悪化しており、全体的に厳しい決算となったようだ。
表:内製薬企業大手5社の2013年3月期中間決算