■WGが報告書
文部科学省の「薬学系人材養成のあり方に関する検討会」のもとに設置された、「新制度の薬学部および大学院における研究・教育等の状況に関するフォローアップワーキンググループ(WG)」(主査:井上圭三・帝京大学副学長)は、薬科大学・薬学部を対象に行った調査結果を8日の同検討会に報告した。報告書では、卒業率が60%を下回るなど、質の高い入学者の確保が困難とされる9学部に対して行ったヒアリング調査の結果を踏まえ、留年者の多い大学について、「最大の要因は明らかに基礎学力不足であり、学年進行に応じた学力の向上が容易には期待できない状況が浮き彫りになった」とし、改善を求めた。
WGでは、▽2008年度から11年度入学定員充足率の平均が60%以下▽08年度から11年度の入学者選抜の試験競争倍率が平均1・2倍以下——などの条件に当てはまる23学部について書面調査を実施。
書面調査の結果、質の高い入学者の確保や優れた薬剤師を養成するための教育に問題があると懸念される、▽青森大学薬学部▽奥羽大学薬学部▽日本薬科大学薬学部▽帝京平成大学薬学部▽横浜薬科大学薬学部▽北陸大学薬学部▽徳島文理大学香川薬学部▽第一薬科大学薬学部▽九州保健福祉大学薬学部——の9学部をヒアリング調査した。
書面、ヒアリング調査を通してWGがまとめた報告書は、留年の最大の要因が基礎学力不足にあると指摘する一方、「入学を認めた全ての学生に対して教育し、最終的に一定の質を保証して社会に輩出するのが大学の務め」ともし、筆記試験を行わずに面接試験のみで選抜するなど、多様な入試形態を採用している大学に対し、「どのような選抜方法が適切か精査し、PDCAサイクルを機能させることが急務」とし、改善を求めた。
書面、ヒアリング調査を通してWGがまとめた報告書は、留年の最大の要因が基礎学力不足にあると指摘する一方、「入学を認めた全ての学生に対して教育し、最終的に一定の質を保証して社会に輩出するのが大学の務め」ともし、筆記試験を行わずに面接試験のみで選抜するなど、多様な入試形態を採用している大学に対し、「どのような選抜方法が適切か精査し、PDCAサイクルを機能させることが急務」とし、改善を求めた。
また、学生の学力を重視せずに入学を認めた大学は、きめ細かい指導体制を整える必要があるため、「質・量の両面にわたる教員体制の大幅な是正が求められる」とした。
報告書では、これらの課題について、「多くの大学に共通する事項」とし、全国の薬学部に、各年次の進級者や入学者に対する標準修業年限内の卒業者、国家試験合格者の割合などのデータをホームページや大学案内などで公表することも求めた。