岩手県の気仙薬剤師会(細谷昌弘会長)は3、4の両日、気仙地区(大船渡市、陸前高田市、住田町)の仮設住宅を対象に、「仮設住宅訪問くすり相談事業」を実施。さらに第2弾を10、11の両日に実施する。昨年の東日本大震災以降、ボランティア薬剤師が同地区仮設住宅を訪問し、必要な世帯に“お薬セット”を配布した。約1年半が経過し使用期限が過ぎたOTC薬が出てきたことから、再び薬剤師が各戸を訪問し、不要な薬の回収を行うと共に、居宅での服薬指導、お薬相談を行った。担当の金野良則氏(保険薬局部会長)によると第1弾では青森県、秋田県、東京都、岩手県の内陸部のボランティア薬剤師が延べ120人参加。第2弾にも延べ90人弱が参加する見込みという。
同薬剤師会は、仮設住宅の受け入れ地区になっている住田町の協力を得て、事業費の支援を含め、各自治体の事業として、事前に「薬剤師訪問によるくすり相談」のお知らせを配布、事前公告した上で、戸別訪問を行った。
昨年の震災後、各地から寄せられたOTC薬等を仕分けし「お薬セット」を作り、全国各地から集まったボランティア薬剤師らが、仮設住宅を個別に回り、必要に応じて配布した。それから1年半が過ぎ、金野氏らは住民から欠品、期限切れへの対応などの相談を受けるようになり、薬剤師として何らかの貢献をしたいと考え、今回の各戸訪問を計画、行政の協力も取りつけた。
また、約4200棟が地域全体に点在しており人手が必要なことや、「支援してくれた人たちに復興の様
子を見てもらいたいとの思いもあった」と、組織的にボランティアを派遣した薬剤師会を中心に声かけをしたという。
当日、各訪問先ではお手紙プロジェクト「なじょしてますか?」も実施。手紙形式で薬剤師会が「直接話せないことに対応する」といった試みも展開。週明け後、お礼も含め、既に20通を超す相談等が寄せられているという。また、活動結果として、段ボール10個分の期限切れOTC薬等が回収されている。
金野氏らは、集まった手紙(住民の声)を今後の展開に生かしたいとの考えだが、当面は第2弾も含め、回収医薬品の分別や廃棄作業を行っていく。
(写真提供:石垣栄一・都薬副会長)