西友は、全国368店舗中135店舗で医薬品を販売しているが、8月に登録販売者試験を受験する従業員に発行した「実務経験証明書」に関し、東京都福祉保健局から不正について疑義を指摘され、退職者を含めた社内調査を行っていた。
その結果、西友が実務経験証明書を発行し、登録販売者試験に合格した従業員のうち、200人が受験資格に必要な毎月80時間、1年以上の実務経験を満たしていなかったことが判明した。過去4年間に西友は352人に実務経験証明書を発行し、登録販売者試験に269人が合格。そのうち、実務経験を確認できなかった従業員が200人に上った。
既に、不正受験が発覚した従業員200人については、全員が店舗での医薬品販売を取りやめたほか、従業員が受験した各都道府県で実務経験証明書を取り下げたとしている。一部店舗では、登録販売者の不在が生じ、2店舗で医薬品販売を休止するほか、営業時間の短縮等で対応している。実務経験不足が発覚した従業員は、登録販売者業務からは離れたものの、店舗で別の業務に従事し、雇用は継続しているという。
不正受験の原因については、「店舗から提出された実務経験証明書を、書類に基づいた確認で発行していたため、実務経験の内容を詳細に精査する適切な体制が整備されていなかった」としている。
今後、社内管理体制の一層の強化、法令遵守のさらなる徹底に全力を挙げる方針を打ち出し、再発防止と顧客からの信頼回復に努めるとしている。
具体的には、不正受験を二度と発生させないため再発防止策を策定すると共に、外部の専門家を含めた調査チームによる客観的な調査を実施し、その結果も踏まえて対策を決める。
■三井厚労相「あってはならない」‐自治体に規則遵守指導へ
三井辨雄厚生労働大臣は6日、大手スーパーの西友が一般用医薬品の登録販売者試験で虚偽の実務経験証明書を発行し、従業員を不正受験させていた問題について、「あってはならないこと」と断じ、「登録販売者制度の運用を徹底し、研修の充実と強化により、質の向上に努めていくと同時に、都道府県には規則の遵守を指導していきたい」との姿勢を強調した。
不正受験については「現在、都道府県を通じて事実関係を調査中で、それを十分に把握した上で、適切に対応していきたい」とし、「登録販売者は、一般用医薬品のリスクの程度に応じた形で情報提供するために導入された制度。最近、私も見ていて名札の着用がないと感じるので、登録販売者制度の趣旨、運用を徹底し、研修の充実や強化を行い、質の向上に努めていきたい」と今後の方針を語った。
今回の大規模不正を受け、登録販売者制度の形骸化が指摘されていることについては、「現在の店舗において、きちんと登録販売者の教育を行う必要がある。規則を徹底して遵守してもらうと同時に、登録販売者制度は都道府県が主体なので、私たちは厳しく指導していきたい」と述べた。また、不正受験の実態調査についても、「迅速に調査を実施するよう各都道府県に指導していきたい」と早急な実施を求めていく考えを示した。