生殖とがんを同時に考えていく場
今月3日、「日本がん・生殖医療研究会」が発足した。生殖医療とがんの治療を同時に考える専門団体で、それぞれの専門医師ら17人が参加している。がん治療において、生殖機能を失うこと(性腺機能不全・妊よう性の消失・早期閉経など)は、たとえ起きてしまってもやむをえないとされてきた。しかし、治療を優先するばかりでなく、患者の将来のために、子どもを持つ可能性を患者とともに追求する、同研究会はその指針作りを行う。
たとえば、卵巣は抗がん剤の影響を受けやすい。投与によって、患者の20%から100%に無月経が発症する。思春期の患者に早期閉経が見られる例もある。一方、精巣への影響は一様ではないが、重度の場合は無精子症となる。女性は、がんが治癒して妊娠、出産が可能になったとき、年齢しだいでは自然妊娠が厳しいということも考えられる。
患者にもっと選択肢を
生殖医療において現在、3種類の凍結保存法が使われている。配偶子(卵子・精子)の凍結、胚の凍結、性腺(卵巣・精巣)の凍結だが、いずれかを選択するには、がんの種類、がんの進行の程度、抗がん剤の種類、化学療法の時期、年齢、配偶者の有無を考慮する必要がある。また、卵子凍結では、適応疾患や凍結方法などがさらに検討事項に加わる。患者にこれらの選択肢を提供していかなければならない。
研究会は今後、さまざまな情報を整理していき、医師、患者いずれに対しても周知を図っていく。ウェブサイトの開設も予定している。
▼外部リンク
聖マリアンナ医科大学病院生殖医療センター
http://www.marianna-u.ac.jp/hospital/