佐藤博常務理事は、全国8529施設の地方厚生局のデータを集計した結果、941施設が算定し、算定割合が1割を超えていることを明らかにした。また、入院してから4週間のみ算定できる療養病棟と精神科病棟の算定状況も報告。療養病床は1448施設中26施設、精神病床は1194施設中13施設が算定していた。
会議では、和歌山県と神奈川県から、“空白の2年間”による薬剤師不足への対応策を求める意見も出た。神奈川県では、薬剤師を確保できている医療機関がある一方、退職者の欠員補充も困難な施設もあり、そうした施設では安全な薬物治療の実施すら危うい状況になっているという。
森田雅之副会長は、2010年度の厚生労働省の調査で、病院・診療所に勤務する薬剤師の割合は、薬剤師全体の約18%だったが、12年度の薬剤師国試合格者8641人のうち、日病薬の会員になったのは10月17日現在2528人で、国試合格者の約30%が病院・診療所に勤務する薬剤師になったとのデータを紹介し、「新卒者は、かなりの割合で病院・診療所を選択している」と分析した。
さらに、「全国的に薬剤師が不足している状況」との認識を示した上で、新卒の学生を確保するには、「卒業生の要望に見合った施設であるかどうか重要」との考えを示し、「会としては、まず、会員施設の努力をお願いせざるを得ない」との考えを示した。
ただ、森田氏の担当する組織強化推進部、中小病院委員会では、中小病院の活動を学生にどうアピールするかなどについて検討を進めており、「会としてでき得る対応をしていきたい」ともした。
また、会合の初めに北田光一会長があいさつし、改めて十分な人員を確保した上での病棟薬剤業務実施加算の算定を呼びかけた。北田氏は、「求人をしても人が来ないような状況が数年は続くかもしれないが、厳しい状況の中でも実施加算の意味を理解して、しっかりとした体制を整えて加算を取っていく必要がある」と述べた。
会議では、藤井基之参院議員が病院薬剤師のさらなる処遇改善の必要性を訴えた。藤井氏は、国家公務員俸給表に準ずる形で給与体系が改善されたものの、「6年制卒の薬剤師の多くが病院薬剤師を志したが、給料を聞いてやめたという人が結構いる。病院薬剤師の処遇の実態がどうなっているかを調べてもらいたい」と要望。そうしたデータを収集することで「一緒になってやれることはたくさんある」と語った。