医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

QLifePro > 医療ニュース > プレミアム > 文部科学省、iPS研究で新工程表―新薬の臨床応用は10年後

文部科学省、iPS研究で新工程表―新薬の臨床応用は10年後

読了時間:約 1分47秒
このエントリーをはてなブックマークに追加
2012年11月05日 AM10:00


■作業部会が大筋了承

文部科学省は2日、iPS細胞研究の改訂版ロードマップ(工程表)を幹細胞・再生医学戦略作業部会に示し、大筋で了承された。iPS細胞研究の進捗を受け、工程表を大幅に見直したもので、疾患研究や創薬への応用に向けては、疾患特異的iPS細胞を活用することにより、5年以内に病態解明、10年以内に新薬等の臨床応用を実現するとした。

文科省は、2009年6月に「iPS細胞研究ロードマップ」を策定。ただ、その後の研究が大きく進展したことから、改めて工程表を見直し、新たなiPS細胞研究の実施スケジュールを示すことにした。

新工程表では、▽初期化メカニズムの解明、安全性の確立▽安全性の高い再生医療用iPS細胞の作製と供給(標準化)▽革新的な幹細胞操作技術による器官産生技術の確立▽疾患研究・創薬のための疾患特異的iPS細胞の作製・評価、バンク構築▽iPS細胞を用いた再生医療研究――の5項目の実施スケジュールを示している。

そのうち、疾患研究・創薬関連では、「進捗中」の取り組みとして、▽iPS細胞を作製すべき疾患の整理と作製▽各疾患の研究者へのiPS細胞に関する技術講習▽疾患特異的iPS細胞バンクの整備▽疾患特異的iPS細胞の研究者への配布▽創薬に利用できる毒性評価系の産業応用――を位置づけた。

「2年以内」に実施するスケジュールとしては、▽疾患特異的iPS細胞作製方法の確立とその最適化▽疾患特異的iPS細胞の評価方法の確立を掲げた。

また「5年以内」には、▽疾患特異的iPS細胞を用いた病態解明▽疾患特異的iPS細胞バンクの充実▽疾患特異的iPS細胞の立体培養により、高度な病態再現をするヒト立体組織を大脳、小脳、甲状腺等に関して作製できる技術の確立――を目指し、今後「5~10年」の間には、疾患特異的iPS細胞の活用による新薬等の臨床応用を実現するとした。

そのほか、iPS細胞を用いた再生医療のヒトへの臨床研究開始については、網膜色素上皮細胞で1~2年、心筋で3~5年、血小板で3~4年、赤血球で5年後以降、神経幹細胞で5年以内、角膜で5~7年、造血幹細胞で7~10年後、膵β細胞で7年後以降をメドに実現するとした。

この日、委員からは、疾患特異的iPS細胞バンクについて、「既にかなり整備されてきており、進捗中に入れてもいいのではないか」等の意見が出たほか、臨床研究の開始時期を示した「iPS細胞を用いた再生医療研究」の項目に「その他の組織」を設けた方がいいのではないかとの提案があったものの、部会では新工程表を大筋で了承した。

このエントリーをはてなブックマークに追加
 

同じカテゴリーの記事 プレミアム 行政・経営

  • 【厚労省】電子処方箋設定を一斉点検-紐付けの誤り7件報告で
  • 【PMDA】コロナ薬投与で注意喚起-妊娠可能性ある女性に
  • 【薬価部会】不採算品再算定、対象絞り込みを-25年度中間年改定
  • 【厚労省調査】敷地内薬局、専門連携の1割-処方箋集中率は93.1%
  • 【臨試協調査】外資が日本を第I相拠点に-国内実施のメリット認識か