医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

QLifePro > 医療ニュース > 医療 > 遺伝子を抑制するマイクロRNAに新たなしくみを発見

遺伝子を抑制するマイクロRNAに新たなしくみを発見

読了時間:約 53秒
このエントリーをはてなブックマークに追加
2012年11月05日 PM08:13
謎だったマイクロRNAの抑制メカニズム

東京大学分子細胞生物学研究所の泊幸秀准教授らの研究チームが遺伝子を制御するマイクロRNAに新しいしくみがあることを発見した。

マイクロRNAは微小なリボ核酸で、たんぱく質の合成を抑制する機能をもつ。つまり、分化・発生や細胞増殖への関与がわかるに従い、がんや重篤な疾患の治療法にマイクロRNAを用いる研究が進められてきた。

一方で、遺伝子を抑制するそのしくみは明らかではなかった。これまでマイクロRNAが機能を発揮するために必須の因子とされていたGW182、同チームはこれを不在の条件にした研究を行った。その結果、遺伝子発現の抑制には、少なくとも3つの経路が寄与することがわかった。複数のたんぱく質と複合体を形成しながら働いているマイクロRNAの作用原理が解明された。

医薬への応用に高まる期待

今年6月に、名古屋大学がマイクロRNAとアデノ随伴ウィルスベクターを使用した遺伝子治療を開発している。これは球脊髄性筋萎縮症などの神経変性疾患の治療をめざしたものだ。

東大研究チームは、マイクロRNAの原理を正確に理解することで、今後、医薬などへのさらなる応用に生かされていくと期待している。今回の研究の成果は、11月2日、米国の科学誌モレキュラー・セルの電子版に掲載された。

▼外部リンク


http://www.u-tokyo.ac.jp/public/

このエントリーをはてなブックマークに追加
 

同じカテゴリーの記事 医療

  • 頭蓋咽頭腫、治療法開発につながる腫瘍微小環境の分子機序を解明-千葉大ほか
  • 自閉スペクトラム症の「ぶつかりやすさ」に注意特性が関与-東京都立大ほか
  • 急性肝炎を引き起こすHEV、診断における抗体検査は有効とメタ解析で判明-広島大
  • 早期膵臓がん、尿中マイクロRNAによる非侵襲的検査を開発-慶大ほか
  • 加齢による認知機能低下、ミノサイクリンで予防の可能性-都医学研ほか