この日の部会では、厚生労働省事務局から、長期収載品薬価のあり方の中間取りまとめに向け、▽後発品と先発品の薬価差▽長期収載品の薬価、後発品の置き換えをどう考えるか――の論点が示された。
参考人として意見陳述した坂巻弘之名城大学薬学部教授は、「OECD加盟国では長期品と後発品の価格差が存在することが一般的。適切な価格差の存在と後発品使用促進策の組み合わせが薬剤費削減につながると考えられている」と事例を示した。
意見交換では、安達秀樹委員(京都府医師会副会長)が、「価格差があることの妥当性として、後発品が出た後の先発品の情報分析、評価・提供にかかる経費が長期品売上高の何%を占めるのかデータを出してほしい」と業界側に要望した。
これに対し、加茂谷佳明専門委員(塩野義製薬常務執行役員)は、「定量的に金額を出すのは難しいかもしれないが、後発品が出た後も、使用上の注意が改訂されている先発品に、どれだけコストをかけているかは示せると思う」とした。
小林剛委員(全国健康保険協会理事長)は、「特許期間中に開発資金を回収することを徹底してほしい」と強調。三浦洋嗣委員(日本薬剤師会常務理事)も「先発品と後発品の価格差があって併存可能と考えるが、開発資金は特許期間中に回収すべき」と述べ、現時点では市場実勢価格を反映することにより、価格差を容認する意向を示した。万代恭嗣委員(日本病院会常任理事)も「基本的に価格差は一定程度あってよい」と同調。これらの議論を踏まえ、先発品と後発品の薬価差を容認する方向性で議論を進めることを決めた。
一方、長期品の薬価と後発品への置き換えについては、坂巻氏が「市場実勢価格の反映が基本。後発品の上市後、一定期間を経ても置き換わらない品目は、さらに引き下げを考えてもいいのでは」と提言。後発品の数量シェアの考え方についても、置き換え可能な市場で評価する方が合理的とした。
坂巻氏が提出した資料では、薬価収載品目の昨年9月調査で、後発品への置き換え可能な先発品の数量シェアは39・9%と試算されている。
白川修二委員(健康保険組合連合会専務理事)は「特例引き下げの幅をもっと拡大してもいいのではないか」とさらなる引き下げを要求。万代氏も「長期品の価格は、段階的に下げるのが一つの方法」と同調した。
三浦氏は、「市場実勢価格を反映させた上で、後発品収載後、一定期間が経っても置き換えが進まない場合は、何らかのルールを設けて特例的に引き下げてはどうか」と提案した。
これら議論を踏まえ、部会として、後発品の数量シェアは置き換え可能な新しい指標で評価すること、開発資金の回収状況等のデータを準備した上で、後発品への置き換えが進まない場合に段階的に長期品薬価を引き下げる新ルール導入等について、今後議論を進めることを確認した。