厚生科学審議会の小委員会は10月31日、日本脳炎ワクチン接種後に死亡した2例について、ワクチンとの因果関係は1例目が不明、2例目は極めて薄いと判断し、「2例の死亡だけをもってただちにワクチン接種を中止する必要性はない」と結論づけた。
同ワクチン接種をめぐっては、7月と10月に死亡例が発生。1例目は5~9歳未満の小児で、接種翌日に鼻水・咳などの感冒症状が出現。接種2日後の夜に発熱、硬直性のけいれんがあり受診した。その後、2回転院し急性脳症と判断され、接種7日後に死亡した。小児は1歳時にてんかんを発症し、内服加療中だった。
厚生労働省が資料として提出した専門家の意見では、「前後関係はあるが、はっきりとした因果関係は認められない」「急性脳症の疑い、日本脳炎との因果関係は不明」などが多かった。
2例目は10歳の小児で、接種5分後に心肺停止状態になり緊急搬送されたものの、1度も心拍が再開せずに搬送先で死亡した。幼児期に広汎性発達障害と診断され、向精神薬を含む内服薬3剤を使用していた。
専門家は、小児が服用していた薬剤にはいずれもQT延長を引き起こす副作用があるため、患児に重篤なQT延長が生じていた場合、接種による強い痛み刺激が心停止を起こした可能性があり、ワクチン以外の要因が考えられるとした。
小委では、専門家の意見を踏まえ、ワクチン接種を中止する必要はないと判断すると共に、2例について「よく精査する必要がある」とし、調査・検討を継続することを確認した。