医療法人誠愛会、南相馬市原町中央産婦人科医院で院長を務める高橋亨平医師は診療所の医師不足のため、一緒に働いてくれる医師、後継者を全国に募集していた。自らも癌と闘いながら、決してあきらめることをせず、治療の苦しみを抱えながら、呼びかけた結果、その切実な願いはみごと成就し、医師の確保につながった。現在4名ほど集まり、来年4月から新規にスタートさせる予定だ。これをもって医師募集も終了となった。
(この写真はイメージです)
高橋医師は、現状を知りながらも、集まってくれた勇気ある医師達を非常に嬉しく受けとめ、これからの、被曝医療、除染研究所との連携にも楽しみを感じている。また多くの応援のメッセージ、仕事の合間の折を見て、訪ねてきてくれる先生方に励まされ、未来に希望が持てたと語る。
そんな高橋医師は、現在の日本の医療界について危惧を感じている。ひとつには、高度医療ほど、一件の手術で多数の医師が必要であるのに、それに見合うだけの医師の数が足りていないこと。 一分一秒争う中で、人数と時間を要する手術であるのに、適した技術をもった医師が、その能力を職場で発揮できていない状態を危惧。
高度医療の研修、知識をもった医師が、適した部署で、他の高度生命維持装置の技師、執刀医、アシスタントDrなどのスタッフと協力することで、貴重な人の命が救われる。今回の募集を通して、いかに医師不足がひどいものか認識したという。
もう一つは、研究費が全く足りていないこと。病気の解明、新しい薬の開発などに、力を注ぐべきところに十分な予算が行き渡っていない。2006年京都大学山中伸弥博士が発見した日本発のiPS細胞は最近ノーベル賞を受賞したことで、記憶に新しいが、実はこれも、研究予算が足りておらず、アメリカは日本の10倍以上の予算、スタッフを用いて、その実験、開発に取り組んでいる。世界に先を越されてばかりではいけない。
ほとんどの製薬会社が予算不足のため、やむなく破産、外資に買収されている悲しい現実。今の遅れを取り戻すためには、教育に文系理系の区別をつけず、試験科目には理系を必ず取り入れるなどの措置をするなど、科学立国日本としての誇りをもう一度見直し、全力で取り組む必要があるという。
高橋医師は、勇気ある医師の募集をしていたが、自身が勇気ある素晴らしい医師だからこそ、その願いは叶えられたに違いにない。日本にも優秀な医師、教授がいるからこそ、人の命が助けられる。医師確保と研究予算。日本の未来は日本で作り上げていくことが、強く求められている。
原町中央産婦人科の新たなスタートと高橋医師の熱意に心から拍手を送りたい。
▼外部リンク
身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ!!
http://www6.ocn.ne.jp/~syunran/miwosutetekoso.pdf
前回の医師募集についての記事
https://www.qlifepro.com/news/20120830/