アメリカの研究により、魚に含まれるオメガ3脂肪酸などは1万人ものアメリカ人がサプリメントとして摂取しているが、必ずしも寿命を延ばす手助けとなるわけではないと指摘された。
(画像はイメージです)
この研究は、魚などによく含まれるオメガ3脂肪酸などの摂取が心臓疾患の予防に役立つかどうか、という議論に基づいて調査された。
エバンジェロス・リソス博士と彼のグループは、ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・メディカル・アソシエーション(JAMA)で研究結果を発表した。今までのデータをさらに見直し、延べ約7万人の患者について調べた20の研究の結果を蓄積した。
多くの臨床実験によってオメガ3脂肪酸などはは心臓疾患、突然死、心臓発作のリスクを引き下げるということは判っていたが、それがどのように作用するかは不明であった。
魚のオメガ3脂肪酸のサプリメントは、アメリカで最も人気のあるサプリメントの一つであるが、綿密な学術的分析の結果、サプリメントによるオメガ3脂肪酸摂取が何らかの効果があるという証拠を見つけることができなかった。
店頭売買の同サプリメントは2009年に7億3900万米ドルの売り上げを記録したといわれている。さらに、2010年アメリカ人はオメガ3脂肪酸を加え強化されたサプリメントの売り上げが40億円に達した。
魚のオメガ3脂肪酸を含むサプリメントを購入した消費者は、心臓疾患などへの効果を期待した者も多くいるだろうが、オメガ3脂肪酸が効果的かどうかは不明だという研究結果は、そういった人を落胆させる結果となりそうだ。しかし、このような研究結果の発表はこれが初めてではない。
この4月、2万人に対する韓国の調査は今回の研究に良く似た結果をもたらし、心臓病への効能と、さらに6月に発表された脳への効能の調査の結果は確証がないとした。
クリーブランド薬品臨床学学校、薬学部教授ハワード・ウェイントローブ教授は、臨床的効果に関する証明は何もないとし、こういった結果にもかかわらず、多くの内科医たちは未だにこの1瓶につき40ドルもするサプリメントを勧めているということだ。
また、医師も患者も、こういったサプリメントは自然界から抽出し、副作用も少ないということで好む傾向があることも指摘されている。
この研究結果を含め、多くの研究が十分な追跡調査ができていない。ただ、患者や魚のオメガ3脂肪酸にもタイプがあり、一つの研究で全体の結果を締めくくるのは難しい。
ただ、オメガ3脂肪酸が身体に良い影響を及ぼすことは確かだ。政府からはっきりした方針が出るまでは、今まで薦められてきたものを個人単位で変えたりするのは控えたほうが良いかもしれない。
▼外部リンク
ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・メディカル・アソシエーション(JAMA)
http://jama.jamanetwork.com