東京大学大学院医学系研究科 疾患生命工学センター 臨床医工学部門の矢野 文子特任助教と東京大学大学院工学系研究科 バイオエンジニアリング専攻 鄭 雄一教授(医学系研究科兼担)の研究グループは、「変形性関節症」の新規治療候補薬を発見したと発表した。
この研究成果は、「Annals of the Rheumatic Diseases」2012 年10月5日付けのオンライン版で掲載されている。
「変形性関節症」は、四肢や脊椎の関節軟骨が摩耗する病。骨粗鬆症や関節リウマチよりも多くの高齢者がかかりやすく、介護保険では要支援の原因疾患の第一位、国内の有病者数は 2000 万人以上と推計されている。
しかし治療法は対処療法が主となり、軟骨組織再生を誘導する根本的な治療法はこれまでなかった。
(プレスリリースより引用)
「変形性膝関節症」では、軟骨内骨化の後期にみられる軟骨細胞の肥大分化に類似した現象が起こっている。
研究グループでは、軟骨基質を合成し肥大分化促進分子を抑制することによって「変形性膝関節症」の発症・進展を抑えられる薬剤を同定するために様々な解析を行った。
そして、武田薬品工業株式会社の低分子化合物 TD-198946が、軟骨分化・軟骨基質を合成し、肥大分化を促進しないことを発見するに至った。
このTD-198946は、軟骨の初期分化に重要な役割を果たす Runx1 を強く誘導し、さらに、Runx1は、軟骨の構成成分である2型コラーゲンを直接誘導していることも判明した。
マウスを用いた検証を行ったところ、この化合物を投与すると変形性関節症の進行を抑制することが示されている。
研究グループでは、
と、コメントをしている。
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プレスリリース
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東京大学大学院医学系・研究科
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